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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第九話 妖精のお色直し(前)
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のですよね。なのにこのカップが作られたのは18年前……本物ではないようですね?」
「残念。イフリートさんが作ったんじゃないのね」
ストレートでありながら上品で押しつけがましくない。ドロッセルの振る舞いは貴族令嬢には珍しい。
「でもやっぱり頂くわ。このカップが素敵な事に変わりはないものっ」
輝かんばかりの笑顔でドロッセルが宣言した。
ドロッセルは安価でティーセットを買い、店側はしばらく誇大広告はできまい。ドロッセルの完勝だ。
「ドロッセルさまって……やり手」
全くだ。なよやかに見えて実は豪胆だったらしい。
包装されたティーセットをローエンが受け取った所で、ドロッセルとローエンが私たちをふり向いた。
しまった、流れでつい長居した。アルヴィン、延び延びになったが撤退するぞ。
「ありがとう。あなたのおかげでいい買い物ができちゃった」
がし。
ドロッセル、何故よりによってイバルの手を掴むんだ! 振り解く――のをアルヴィンは諦めて成り行きを見守る体勢。
この……若造っ、そういうことか。後で覚えていろ。
「あ、へ、はあ?」
「私、ドロッセル・K・シャール」
「執事のローエンと申します。以後お見知りおきを」
「お礼にお茶にご招待させて頂けないかしら。もちろんお連れの皆さんも」
「いいのかね。我々まで馳走になっても」
「ええ。おしゃべりはたくさんの人としたほうが楽しいですもの」
ドロッセルに見上げられてローエンも笑顔で同意した。なるほど。シャール家はこうして外部の情報を集めていたのか。さしずめ今の私たちは華に惹かれ出たミツバチか。
「ではお招きに与かろう。構わないな」
アルヴィンもフェイリオも肯いた。イバルは……まあ、いいか。しばらく混乱していろ。広場で騒いだペナルティだ。
/Fay
ビックリした。
この時代のローエンに会ったこともだけど、ドロッセルさまに招待されたお家がすっごく貴族のお屋敷なのが一番ビックリした。エリーゼってこんな広いお屋敷に住んでたんだあ。
「お帰り」
「お兄様!」
ドロッセルさまが駆け寄った男の人。青い衣の、ヤサシイ笑顔がステキな人。
オニイサマって呼んだって事は、この人、ドロッセルさまのお兄ちゃんなんだ。
「お友達かい?」
「ええ。皆さんのおかげで安く買い物ができちゃった。紹介しますね。……あ、まだみんなの名前を聞いてなかった」
ドロッセルさまって、照れててもカワイイ人だなあ。
「妹がお世話になったようですね。ドロッセルの兄、クレイン・K・シャールです」
「クレイン様は、カラハ・シャールを治める領主様です」
「リョーシュサマっ」
街で一番エライ人!
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