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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第四話 想い、轟々と(前)
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くんだ」
「ちょっと歩いてくるだけ。気にしないで。アルもエリーもちゃんと休まなきゃだめだよ」






 /Victor

 フェイリオが岩から岩へと飛び移って見えなくなってから、エリーゼがおずおずと近くに来た。

「あの、ヴィクトル…聞いても…いい、ですか…」

 ふっと笑む。膝を叩いて手招きする。エリーゼは顔を輝かせて膝の上に載った。エルにもよくしてやったのが思い出される。

「何だい、エリーゼ」
『あのねー。ヴィクトル君はフェイ君がキライなの?』

 ……またストレートな。これがエリーゼの心の声か。子供は残酷というのは「エル」たちで痛感していたが。

 嫌いなのか、か。改めて考えた事はなかったな。
 元の世界で生きていた頃は「キライ」だった。憎んでいた。フェイリオさえ産まなければラルは生きていられた。出産前から告知されていた。産めばラルが死ぬと。

 二人目の子など要らないから君に生きてほしい。子供はまた作ればいい。――かつてジュードたちに言われて怒り狂った言葉を、今度は私が妻に言い聞かせていた。
 だが私がどう訴えてもラルは聞き入れず、フェイリオを出産し、死んだ。

 フェイリオは「いる」だけで私にラルの死を突きつける。固まるはずの心のかさぶたを永遠に引っ掻いて血を流させ続ける。

「――――ああ。そうだな。きっと俺はフェイがキライなんだろうな」
「フェイが、ヴィクトルに悪い事した、ですか?」
「したんだ。それ自体はフェイの意思ではないが」

 ラル、君に問いたい。君は何故自分が死ぬと分かっていてフェイリオを産んだ? 私にはエルだけでいいと君には打ち明けていたのに。産まれてくるのはエルだけのはずだったのに。

「なあ、ダンナ。フェイの奴、どこまで行ったんだろうな。帰り遅すぎねえか?」
「そうか?」

 立ち上がる。と、同時に重いものが岩場を揺らす振動を感じた。
 揺れの源は、一人の大男。私やアルヴィンの1,5倍はあろうかという大男。

「ジャオ…? 何でこんなとこに」
「知っているのか、アルヴィン」
「あー……一応な。有名だぜ? ア・ジュール王の守護四戦士の一角。〈不動のジャオ〉」

 そのジャオがエリーゼを認めるのと同時、エリーゼが私の後ろに隠れた。

「おぬしらがエリーゼを連れ出しおった輩か! さあ、娘っ子、村に戻ろう。そやつらと共にいることなどない」
『イヤーーーーーーー!! ヴィクトル君庇ってー!』

 はあ。やはりこういう展開になるのか。

「貴方とエリーゼはどういう関係なのだ」
「その子が以前いた場所を知っておる。彼女が育った場所だ」
「ではエリーゼを引き渡せば彼女を故郷へ連れて行ってくれるのか?」

 ジャオは答えない。答え
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