暁 〜小説投稿サイト〜
エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第三話 フライング・ジャーニー
[1/5]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 /Fay

 拝啓。エルお姉ちゃん、元気ですか? フェイは何とかやってます。

 いつも通り、心の中だけの、届かないお手紙。

 フェイたちはイラート海停に着いてすぐ、イラート間道を道なりに進んでハ・ミルを目指しました。間道には魔物もいっぱい出ましたが、ぜんぶパパと(こっちの)アルヴィンがさくっと片付けてしまいました。

 ニ・アケリアじゃないのかって? わたしもパパにそう聞いてみたわ。ミラさまはともかく、四大の再召喚はニ・アケリア村の世精石がないとムリなのにどうしてって。

 そしたらパパ、こう答えたの。
 “ハ・ミルにはエリーゼがいる”って。





 よそからお客さんが来るのは珍しいって、村長のおばあちゃんが言って、宿を貸してくれました。
 今はその部屋でパパと二人きり。議題は「これからの仲間集め」。

「エリーゼは確かジュードがハ・ミル村に立ち寄った時に連れ出したと言っていた」

 パパは窓際に立って、外を見下ろしてる。外でハシャいでるコドモたちの中には、当然だけど、エリーゼはいない。

「わたしたちもジュードのマネしてエリーゼを連れてったほうがいい?」
「ああ」
「じゃあ、エリーゼんとこに」
「私が行く。お前は待っていなさい」

 すとん。立ち上がったけど、座ってたベッドに逆戻り。

 パパが部屋を出て行った。
 一人になったわたしは、開いた窓から外を眺めた。風の葉擦れの音。パレンジの仄かな香り。暁域って言ったっけ、バラ色の空なのは。

 コンコン

 はーい。
 ドアを開けると、アルヴィンがいた。びっくり。パパと一緒に行ったと思ってた。

「よ、フェイリオ」
「フェイ、でいいよ。みんなそう呼んだから」

 アルヴィンを部屋に招き入れてあげる。アルヴィンはベッドに座った。わたしもアルヴィンの正面に急いで腰かけた。

「じゃ、フェイで。そんでイキナリで悪いけど、聞いていいか? おたくとヴィクトル、本当に父娘?」
「おやこだよ!!」

 立ち上がった。アルヴィンが目を白黒させてる。

 ヒドイ。ヒドイ。確かに普通の父娘じゃない。歳は近すぎるし、似てるとこ一個もないけど。パパはフェイのことキライだけ、ど……

 ……あは。なんだ。アルヴィンが疑うのも当然だ。パパとわたし、全然オヤコらしくない。

 力抜けて、そのままぽふんってベッドに座り直した。

「ゴメン、アルヴィン」

 へにゃっと笑う。笑い方は、〈前の世界〉よりはバリエーションが増えたと思う。

「いや、俺こそ悪かったよ。怒っていいぜ」

 首を振る。怒るわけないよ。「父娘」らしくないフェイとパパが悪いんだもん。

 話題、変えよ。このままじゃもっと暗くなりそう。


[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ