暁 〜小説投稿サイト〜
エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第一話 代役
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「代役が要る。ジュードとミラを無関係者にしてしまった。これで大きく歴史は変わるだろう。彼らの代わりに、彼らの『役』をする人間が必要だ」
「代役……まさか、パパ、わたしたちが?」
「フェイリオ」

 問いには答えず、フェイリオの頬に手を当てる。私とのスキンシップに慣れないフェイリオを黙らせて言うことを聞かせるのは、これが一番手っ取り早い。

「辛くても怖くても。自分の命が危険に晒されても。ミラ=マクスウェルを演じられるか」

 フェイリオは赤い目を見開いたまま、手だけを動かして左手に重ねた。

「うん。約束する」
「……!」

 その返事は。エルを正史世界に送り出した時に、エルが言った――

「……ああ、約束だ」

 フェイリオの頬から手を離して立ち上がる。

「パパは?」
「ジュードの代役をやる。源霊匣(オリジン)開発はともかく、『ジュード』と『ミラ』が出会わなかった以上、断界殻(シェル)開放に動く人間もいなくなる。その穴を埋める」
「パパが『ジュード』の代わりに断界殻(シェル)を開放するの?」
「そういう事になる。それが私の――ジュードとミラを弾き出した私たちの責任だ」
「……うん」

 上手く事を運ばなければならない。考えるべき案件は山積みだ。
 歴史通りに世界が回るように。
 道を外して、ここを分史世界にしてしまわないために。

 〈槍〉のすぐそばに空いた穴。まるで冥府へ招く門のように暗く、黒い。

 あの衝撃だ。じきに警備員と研究員が駆けつけるだろう。この場は早々に退散だ。

「フェイリオ」

 手を、差し出した。フェイリオは存外あっさりと私の手を取った。
 私たちは二人で暗い滝に飛び込んだ。
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