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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第一話 代役
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「黒匣は……。……。本体は別の場所か」

 ほら、やっぱり私に構わず部屋を出る。私は追いかけざるをえない。



 辿り着いたのは、おそらく研究所でも限られた人間だけが入れるほど奥のドーム。

「〈クルスニクの槍〉……? これが?」

 携帯版の〈槍〉を巨大化したようなデザイン。確かにこれを小型化しようと考えたリドウは、発想だけは賞賛に値するな。

「見ちゃったんだ」

 っ! 誰だ!?

 上だ。赤い影……赤いミニスカドレスの、銀髪の少女。手には槍のような仕込み杖。

 少女は飛び降りると、仕込み杖を私とミラに向けた。

「なに落ち着いてんだよ。……ムカつくなぁ」

 一発殴って昏倒させておくが吉か。そう思って踏み出す――前に、ミラが来た。後ろに炎の大精霊イフリートを従えて。

「説明する時間が惜しい。黙って引いてくれれば危害は加えない」
「ふざけんな! その顔、ぐちゃぐちゃにしてやる!」
「それは困る」

 ミラが指を鳴らす。イフリートが火球を少女に放つ。おいこら、いくら何でもその威力を生身の人間に当てるのは――だめだ。今のミラは手加減を知らないんだった。

 しょうがない。骸殻発動、足のみ、5秒間。

 転身し、火球を一部だけ斬り落とした。これであの子は気絶程度ですむはずだ。
 案の定、火球をまともに食らって、少女は吹き飛ばされて倒れた。

「守り手が付くとこを見るに、やはりこれが肝の黒匣か」

 光学ディスプレイに移るのは、この兵器の簡単な説明と、名称。

「〈クルスニクの槍〉――」
「創世の賢者の名を冠すとは。これが人の皮肉というものか。――やるぞ。人と精霊に害成すこれを破壊する」

 その言葉を合図にしたように、顕れたるは、四大精霊。赤、青、緑、黄の魔法陣が〈槍〉の四方を囲む。周囲のエネルギーが高まっていくのが、霊力野のない私でさえ分かるほどだ。

 四大精霊の4色のマナが、〈槍〉の上で絡まり巨大な陣を編み上げる。その中心からミラがマナを注いで兵器を破壊する。実にシンプルなやり方。

 それを、邪魔された。

 兵器近くにあった操作盤の前に現れた、あの銀髪の少女に。
 彼女はタッチパネルを操作してから、倒れた。

 次の瞬間に襲ってきたのは、マナ搾取の波動。

「なっ!?」
「ぐあ!!」

 これが…っ、断界殻さえ破壊する精霊術打ち消し装置の真価…! 生命エネルギーを抜かれる感覚。脳に直接ホースを突っ込まれて中身を吸い上げられているような感覚だ。

 ――〈妖精〉に祭り上げられたフェイリオは、こんな体験を10年もしてきたのか?

 マナ搾取に加え、拘束の陣が発動する。それでもミラは足を踏み出す。〈クルスニクの槍〉の起動キーで
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