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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第一話 代役
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従えられない四大精霊の一柱を従えているとなれば、俄然興味も湧くさ」
「何故それを!」
「たった今、私を閉じ込めたのは誰だったかな」
ウンディーネの姿を見せた失態にミラはようやく気づいたようで、少し困ったように頬を掻いた。
「君は私にどうしてほしいんだ。興味があると言う割に特に何かを要求するでもない。遠回しな言い方しかしない。私はこの先に用があるんだ。君も私に用があるなら手早くすませてくれ」
苛立って腕組みして指を叩くなんて、分史のミラのしぐさと同じだ。まるで癇癪持ちの子どもだな。精霊の主も、箱入り娘として育てられたらこんなものか。
「そう急かないでくれ。私は別に君の行く手を遮りたいわけじゃない」
「だったら」
「一緒に行かせてくれないか?」
ぽかん。そんな音が聴こえそうなほどのマヌケ面。百面相は相変らずだな、ミラ。
「言っただろう。君に興味があるんだ。君がラフォートに忍び込んで何をするか見物したい。まあ、君がイヤなら私は後ろから勝手に付いて行くだけの話だがね」
「……興味……見物……」
ふいにミラを囲んで漂う光球たちが明滅した。ミラを急かしているのか、私を警戒してか。
それに対してミラは艶やかに笑んだ。
「お前たちを従えている私に恐れるものなどない。――分かった。君の同行を許そう」
今ので会話が成立していたのか。フェイリオも時々何もない場所に耳を傾けることがあるが。やはり精霊の世界は深遠すぎて私には理解できそうもないよ。
っと、こら、ミラ。許可しておいて人を無視して排水溝を登るな、水路を進むな。待つという言葉を知らないのか君は。……いや、そこで本気で不思議がられると私も困るんだが。
こんなに奔放な女性だったか? 過去の思い出が美化されてないか自分?
しばらく水路を歩いた。ミラは無言だ。初めて会った時の彼女はよくしゃべるほうだったが、それはジュードたちからの薫陶あってこそということかな。
「君は、黒匣がなくても人は生きていけると思うのかね?」
「思うに決まっている。あれは人を破滅に向かわせる力だ。残さず破壊せねば」
ジュードは過去さぞ苦労したに違いない。これを宗旨替えさせるなど私には無理だ。
ああ、今改めてお前を尊敬するよ、ジュード。精霊の主をタラシ込むなんて、お前はとんでもない男だったんだな。
自らを人と精霊を守るマクスウェルだと喧伝しながら、ミラ、君はあまりにも私たちに無関心だ。
何故挑んできたか、何故怒ったか、何故守ったか。何故、自分にそれらが向けられたのか。普通は気になるものだろう? 命が危ういとなれば尚更だ。
それとも君は、自分自身が勘定に入ってないのか?
不意に青い光球がミラの下に降りて明滅した。
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