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聖夜に捧ぐ『フローエ・ヴァイ・ナハテン』〜クロスクエスト〜
第五幕
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瞬間離脱、別の相手へと攻撃を仕掛ける。さながら妖精のように。戦乙女のように。踊るように。歌うように。速く、疾く、戦うユイナ。

 彼女の経験したSAOは、命を掛けたデスゲームではなかったという。

 だが、彼女はきっと、そんな中でも命を懸けて、全身全霊で『生きて』来たのだろう。

「(……負けてられないね!)」

 こっちだって、あの仮想世界で本物の命を懸けて戦った人間なのだ。彼女に劣る、ということはないだろう。

 ハリンの二刀に光がともる。刀ソードスキル《裂戦空(レツセンクウ)》が発動し、神速を以てして怪人の首を刈り取る。この時、振りかぶられた左手へと意識を動かし、渾身の剣技連携(スキルコネクト)。刀スキル《金剛一刀(コンゴウイットウ)》の剛撃が、トナカイ男を左右真っ二つに切り裂いた。
 
 ユイナの薙刀が光を発する。素早く打ちこまれた、疾風のごとき斬撃の嵐。名前は知らないが、ソードスキルなのだろう。一瞬のスキルディレイを打ち破り、すぐに彼女はその場から離れ、次の獲物と相対する。

 しばしの、間、無言。しかし、優美で苛烈で、唯々疾(はや)い、戦いが、そこにあった。



 ***


 
 ――――体が、軽い!

 その現実に、ミヤビは歓喜していた。頭の中に響いた、《天宮》の声。彼はミヤビに何かを施すと、すぐに消えた。

 最初、何をされたのか全く分からなかった。

 だがすぐに、それが何なのか気が付いた。

 そう、軽い。体が軽いのだ。それでいて、一撃一撃はより重く、強くなっていた。試しに薙刀の代わりに氷の剣でを握り、よく見知った十六連撃を放ってみれば、見事にその流星のごとき連撃――――《二刀流》ソードスキル、《スターバースト・ストリーム》は発動した。

 今や、氷だけでなく炎までもが、戦場を蹂躙している。

 もはや疑う余地もあるまい。

 《天宮》は――――《心結び》を起動させたのだ。ここにはいない、キリトとの間に。キリトの全ステータスがミヤビのそれに上乗せされ、二人分の力が発動させられる。

「――――(シィ)ッ!!」

 小さく息を吐きだし、二刀を振るう。

「ぐぎゃぎゃぎゃっ!」
「ぎぎぃぃ……」

 融合した強化トナカイたちを蹂躙していく。取り残した奴らには、氷の剣を投擲。凍り付いた傷口(そこ)をめがけて炎を繰り出し、急激な温度変化で爆発させる。

 気が付けば、目に見えるトナカイたちの数は、もはや数えるほど。無限に等しかった以前とは、なんというか、『希望』が違う。

 氷の剣を飛ばし、再び薙刀を抜き放つ。《薙刀剣》最上位ソードスキル《ジ・アビス》の二十五連撃が、美しく、残酷に、しかし確かな正当性をもって、トナカイ怪人を切り刻んで
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