第一話
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中に消えた。その道中で「あばよと〇つぁん!!」と叫んだのは些細な事だと思う。
翌日、曹徳が消えた事を知った曹嵩は「育ててやった恩を忘れおったな曹徳!!」と激昂して見つけ次第打ち首にしろと命令をして曹徳の捜索を開始した。しかし、曹徳は一向に見つかる気配はなかった。
「そう……曹徳は見つからないのね。下がっていいわ春蘭」
「は」
曹操の言葉に春蘭が下がる。
(曹徳が消えてしまったのはかなりの痛手ね。曹徳は昔からよく分からない男だったわ。でも、同時に私は無能の曹徳は化けると思っていた。そう直感した私は曹徳をあえて突き放していたわ。でも結果は御覧の有り様ね……)
曹操はそう思っていた。
「まぁ、果実は熟したら美味しいからね。いつかまた会えたら曹徳……貴方は私好みに化けているのかしら? ねぇ曹徳?」
曹操は面白そうに微笑むのであった。
「……曹徳様……」
夏候淵は捜索隊を率いる中、思わず溜め息を吐いていた。曹徳の行方が分からなくなって既に三日が経過していた。
(私が初めて曹徳様にお会いしたのは七つの時だった。姉者は華琳様に付きっきりだったが、私は何故かよく曹徳様と遊んでいた。しかし、曹徳様が華琳様より普通だと知ると途端に私の両親は曹徳様に近づく事を禁じた。皆は曹徳様を普通だと言うが私はそうは思わない。曹徳様は華琳様とはまた違う逸材だと私は思う)
「曹徳様……貴方のこれからのご武運を祈ります」
曹徳のために夏侯淵は曹徳の武運を祈るのであった。
「おのれ曹徳ゥ!! 人が育ててやった恩を忘れおってェ!!」
曹嵩が酒が入った瓶を壁にぶつける。瓶は勿論割れて、酒を床にぶちまける。
「……やはりあの時、曹徳を拾うのではなかったな」
曹嵩はそう呟いたのを使用人達が聞いていた。
「(よく言うよ……曹徳様を捨てたのは自分なくせに……)」
「(曹操様が頭が良いと知ると勉強を辞めさせて私達と同じ雑用をさせていたのは自分なくせに……)」
使用人達はヒソヒソと話し合う。
「えぇい気分が収まらんわ!! 酒だ!! 酒を持ってこい!!」
屋敷に曹嵩の怒号が響いたのであった。
「さて、何処に行こうかな……」
(確か董卓は涼州にいたはず……それに董卓軍は俺の嫁(笑)の華雄がおったしな)
「よし、涼州に行くか」
商人の格好をした曹徳はそう呟いて涼州に向かった。
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