聖夜に捧ぐ『フローエ・ヴァイ・ナハテン』〜クロスクエスト〜
第四幕
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、と気が付いたのだ。
空を飛ぶスキルをもつプレイヤーは此処にはいないし、超々遠距離攻撃をする奴もいない。ならば足場を作るのは当然だろう。
これに気が付いてから、戦況はうまく自分達に傾き始めた。
だが、物事そう簡単にうまくはいかない。
「MerryChristmas!!」
「うおっ!?」
似非サンタが、白いプレゼント袋の中からトナカイ怪人を放り投げる。
「AAAAAAA!!!」
「なんか切実な願いが聞こえる――――!?」
真っ黒な怪人のフードの中から聞こえる、庶民的な願い。それに多少の恐怖感を覚えつつ、次の足場に逃げる。
「YAAAAAHAAAAA!!」
「だから何で聞こえるの――――!?」
投げられて来た二体目も、謎の悲鳴を上げてくる。それをこちらも悲鳴を上げて回避しつつも、アクロバティックな動きで足場を転々とするジン。
「くそっ! 近づけねぇ!!」
恐らく、もうすぐあのサンタ型モンスターを斃せるのだ。だが、哀れなトナカイ怪人たちが砲丸投げのように何度も投げ飛ばされて来て、なかなかサンタに近づけない。
『――――困ってるみたいだね? ジン君』
その時だった。
誰かの声が頭の中に響いたのは。
「……!?」
『誰かって? おいおいひどいな。もう会ってるじゃないか。《天宮陰斗》だよ』
「あ、あんたか……!?」
自分達をこの世界に引き込んだ張本人だった。
『キミ達は実によく頑張っている……だが、このままでは君は負ける。そこで、僕からの一足早い、君へのクリスマスプレゼントだ……キミの能力にひっかけて』
次の瞬間。
左目に、何かが重なるように映った。それは、今この場所の映像だ。だが、何かが違う――――?
左目に映ったサンタは、袋の中からトナカイを取り出して――――
「いや、違う!?」
映像の中で、投げられたのはトナカイではなく、巨大な斧。それも、丁寧に磨かれているのか、つやつやと刀身が光り輝いている。あれにあたったらひとたまりもなさそうだ。くるくると回転しながら、時計回りに足場を通り過ぎ、サンタの元へ戻る斧。映像の中のジンは、その攻撃を反対側の足場へ飛び移ることで避けていた。
そして、その直後。
右目に映ったサンタが、袋の中から斧を取り出してぶん投げた。その動作、細部に至るまで、左目に映ったそれと同一。
「うわ!?」
ジンはとっさに、左目に映った斧が通った足場とは逆の足場…今の場所より少し遠い…へと動く。そして左目の通りに、斧は本来ならばジンが次に飛び移ろうと思っていた、先ほどの足場に一番近い
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