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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
08話 焦燥
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「済まないな、電磁投射砲だけでも大変だというのに新OSのテストまで割り込ませて。」
執務室の応接机に唯依が二人分の熱い湯気を立てるお茶を湯呑に入れおいてくれる―――隻腕の自分ではどうにもお茶を上手く入れることが出来ないため、たまにこうして彼女がお茶を入れてくれるのが密かな楽しみとなっていた。
「いえ、私も大尉が追加したあの機能のお蔭で助かった場面があります……あのOSが実戦配備されれば衛士の死者、特に初陣衛士の死の八分を大きく変えることができるかもしれません。」
若干の興奮を滲ませて唯依が熱弁する。
今回のホワイトファングスが行う電磁投射砲の運用試験に際し、不知火乙壱型用に試作した新OS試験を割り込ませた。
「しかし所詮は試作だ。動作確率は衛士の戦闘経験に左右され、しかも誤作動の可能性もあることが分かった―――まだまだ改良の余地は大きい。」
OSに組み込まれた新機能、ヴァリアブル・アクティブ防護システム。
略称、VAPS
歴戦の衛士の個人データの膨大な蓄積データを元に間接思考制御を更に推し進めた新OSだった。
敵に不意を突かれた時の全身の緊張を感知し、視線と各種複合センサーの情報を統合し機体が自動的に回避・防御行動を行うというシステムを今回は試験的に搭載した。
これは歴戦の衛士が反射的にどういう回避行動をとったのか、という操縦ログと視線・筋反応を基本データとして応用したものだ。
つまり、衛士の“危ない”という咄嗟の反応を汲み取る機能といえる。
しかし、この機能は衛士の意思と機体の意思が上手く噛み合わなくては単なる足枷にしかならない―――つまり、衛士が反応が間に合わなかった瀬戸際と認識・機体センサーの感知齟齬のデータをもっと篩いにかけて洗練させる必要があるのだ。
衛士の意思を汲む機体の開発、正に人馬一体の極致を体現する機体システムの開発―――それが今忠亮が進めているZINKIプロジェクトである。
不知火乙壱型によりOSの占める割合が大きいと判断された結果、帝国・斯衛両軍共同で行われている新OS或いはマンマシーンインターフェース開発計画だ。
その第一号が今回のVAPSだ。
尤も、既存のOSに乱暴に未成熟な機能をぶち込んだだけなので、動作すれば御の字レベルだったが、唯依の感想を聞くに存外好評だ。
「―――」
ずずずっと、唯依の入れてくれた茶を啜る。静岡県産の天然緑茶だ。
しかも、唯依が入れてくれた茶は渋みと甘味のバランスが丁度よく上手い―――湯の温度に加え、お湯の注ぐ速度や注ぎ方が非常に丁寧に適切なやり方で行われているのだ。
繊細な彼女の気質がよく表れている。
「美味いな、いい嫁に成れるぞ。」
「あ、ありがとうご
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