捕食者VS獲物達
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吸われた戦闘員達は皆三分の一ほど萎み、石化するように固まり紫白い炎に包まれ、破片は砂粒の様に風に乗り味方に感傷に浸る時間も与えず消えていく。
そして少女は満足そうにげっぷをし、何も知らなければ見惚れてしまいそうな可愛げな笑みを浮かべ、不意に予兆無く硬直した後―――――グリン! といった感じで顔を後ろへ向けて、見られている方からすれば先程の可愛さの欠片も無い、ニタァ……とした邪悪な表情をゴリラギルディへ向けてきた。
「……じゅるっ」
「!?」
しかも涎のオマケつき。
彼女が何を考えているかなど、そして圧倒的な程実力に差があるゴリラギルディがこれからどうなるかなど、もう考えずとも明白であろう。
「くぅ、何という奇天烈な少女、何という恐ろしげな少女……しかぁし! ここで退く訳にはいかない! ツインテールを集める為! 散っていった三人の同胞に報いるため! そしてまだまだ美しきすべすべの腕を愛でる為にも! ここで死ぬわけにはいかないごぼっ!?」
まだそこに拘っているのかと雰囲気を台無しにする台詞を言いきる前に、ゴリラギルディは自分の方を喰い千切られた痛みを感じ、咄嗟に跳び退くも次は指を喰い千切られた。
喰われた跡は少女の口よりは大きいがそれでもまだまだ小さく、そこまで大きなダメージを負うモノではない……だが、この行為によりこの少女は自分を喰いにきているのだと、ゴリラギルディは改めて認識させられる。
(何なんだこの感情は……今まで感じた事のないこの恐怖はなんだ?)
悲しいかな、彼等は今まで倒されはしても喰われる側には殆ど回って来なかったからこそ、ゴリラギルディが自分の中に浮かんできた感情を理解する事は出来なかった。
怒りも憎しみも悦びも無い……食料を得るための混じりっけの無い純粋な殺意、それを捕食者から向けられた際に浮かび上がる、『逃走しろ』という本能的感情を。
なまじ人間と同等以上に知能を会得し、そして趣味趣向の情熱塊と言う存在故に人間以上の煩悩と欲望を手に入れたが所為で……彼等の中には趣味に掛ける比喩的表現などでは無く、文字通り野生に生きる獣達の溢れんばかりの野性、生き残るための執念を体現する本物の“本能”という人間ですら持ち合わせている概念を、思考の中より消してしまっていたのだ。
「この震えの根源が何なのかは分からぬが……しかし! 私は一度お前に背を向けた身! もう背は向けぬ! この震えは武者震いと決定し、お主に―――むっ!?」
話を聞く気など端から無いのか、紫色の少女はゆっくりと数歩前に進み、空気が凍ったとも感じられる奇妙な圧力が放たれた刹那地面が爆発し、少女は次々と地面を爆破させてジグザグに高速で詰め寄ってくる。
戦
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