捕食者VS獲物達
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「ぬおっ!? ……な、何奴!」
ゴリラ怪人は人影へ向け叫ぶが、対する向こうは無言のまま何も返さない。やがて少しだけ煙がはれると、腰にまで届く程のツインテールのシルエットが浮かび上がり、ゴリラ怪人は落ちてきた人物についてある人物に思い当たり、すぐさま落ちてきた理由に合点がいく。
「おお! やはり現れたか、焔の少女テイルレッドよ! 我が名はゴリラギルディ!! 腕属性を羨望せし者よ!! お主の美麗なる腕を見やるのを待ち望んでいたぞ! さあ神妙に勝負いたせい!」
ここ連日で立ちはだかる少女の名をゴリラ怪人改めゴリラギルディは叫ぶ。テイルブルーだと言う可能性もあるのに、彼女相手には無視を決め込む方針なのだろうか。
……が、しかし相手も肯定も否定も返して来ず、ただ佇んでいるのみ。その内、シルエットの身長がテイルレッドと違う事に気が付いた。
(む……? テイルレッドよりも背が高い……)
テイルレッドよりも背が高く、この場に現れてくるような人物。それは考える間もなくただ一人しかいない。
「ぬ、どうやら間違えてしまったようだな……非礼を詫びようテイルブルー。案ずるな、お主の腕はテイルレッドのそれよりもスラリと長く、より美しい。至高と言う言葉でも足りぬよ!」
言い直すゴリラギルディだが、またもや答えは帰って来ない。いい加減無視されるのは目に余ると大声を張り上げようとした途端、その内ゴリラギルディは見えるシルエットの中に、何処か不審な点がある事に気が付いた。
(なんだこのシルエットは……ブルーとも違う……何だか左腕が右腕よりも大きい、か? 右足も同様に大きめだが……)
段々と煙が少なくなっていけばいくほどに、テイルレッドやテイルブルーとの相違点がどんどん露わになって行く。
そして完璧に煙がはれた時、現れた人物を目にしてゴリラギルディは思わず驚愕の声を上げてしまった。
「テッ、テイルレッドでは無い!? テイルブルーでも無い!? 何なのだ!? 誰なのだお主は!?」
「…………」
そこに居たのはテイルレッドの様な燃える火炎の赤でも無く、逆巻く水流の青でも無い、不気味さを感じさせる毒々しい紫系統のツインテールをもつ少女だった。
レッドやブルーの露出が多く近未来的な装備とは違い、何処か古臭さと生物らしさをのぞかせる格好をしており、背はブルーよりは低くレッドよりは高いといった印象。
今まで見た事が無く、しかも何の兆候も無く現れた少女の存在、それも充分すぎる程驚愕に値するが、ゴリラギルディはそれ以上に驚愕すべき点がある事に気が付いた。
(な、何故だ……何故なのだ……
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