青の登場と状況悪化
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こえない位置にいた為に何を話していたかは分からないが、観束と津辺はとても嬉しそうにしており、小走りで校門へ向かっていく。
そして校門前ギリギリで急にストップした。
何があったのかと瀧馬も校門に近付くと―――――
「あ、ああ!! 今微笑みかけてくれたぞ!! テイルレッドが俺に! 俺ニィ!!」
「ふふふ、まだまだ甘いなお前……」
「何っ!?」
「俺なんかなぁ……自分のトランクスにテイルレッドを転写したんだぜ!! もう四六時中一緒じゃないと気が落ち着かないぜっ!」
「なんとぉ!!」
「貴様ぁ! 最初にファンクラブを作ったのは俺だ! だから会員第一号も俺なんだよ!!」
「何を言うか! 俺がテイルレッドを世界一、いや宇宙一愛している! 故に第一号は私だ!!」
正に魔窟とも言える状況がそこのに生まれていた。前にも言ったが、これでもまだ正気な方であり、最悪な所では……
「うん、うん、それじゃあ放課後にスイーツパーラーね。わかってる、愛してるよテイルレッドたん」
内容は兎も角一見普通に携帯へ話しているように見えるこの台詞。これが何処にもつながっていない携帯電話へ向かって話していると、一体誰が想像できるだろうか。……単純に恐ろしくなってくる。
こんなのが高校の登校時の日常風景だと知ったなら、常識人はひっくり返るのではなかろうか。
(……今日も昼で帰っちまおうかな……)
己の正気の方を疑いはじめそうな光景を前に、瀧馬は立ち止まって無表情になるのと同時、一応数少ない常識人に入る観束と津辺が立ち止まった理由を察し、コレは流石にしょうがないとも思った。
すると、同じく呆然としている様子から同志だと勘づいたか、観束が瀧馬へ近寄ってくる。
「なあ、これを見て、どう思う……?」
「いや……普通にどころか、異常に気持ち悪いと思―――」
「ううっ、まともな人がここに居てくれたよぉ……ううぅ」
「良かったわね、そーじ」
「……」
何故だか泣き出し始めた観束を見て少し申し訳ない気持ちになった瀧馬は、取りあえず昼で変えるのは止めておこうかと考えるのだった。
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