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花唄
第一章
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うからな、ははは」
 次に笑って述べてきた。
「まあ待ってりゃいいさ」
「そうだよな、やっぱり」
「桜が見ているぜ」
 彼等は言う。
「優しくよ」
「そういうことだな。桜ってのはやっぱりいいもんさ」
 痩せた男は酔った目で桜を見る。その顔も完全に酔っているがそれでも桜はしっかりと見ていた。
「心をな、安心させてくれるからな」
「はあ」
「だから娘さん」
 優しい声をかけてきた。
「待ち人来たらずなんてのは考えなくていいからな」
「ゆっくり待てばいいってことだな」
 太った男も言ってきた。
「そういうことだろ」
「その通りだ」
 彼は同僚に応えた。
「じゃあこのままいればいいんですね」
 美佐子もそれを聞いて何か安心してきた。それで問うた。
「そうですよね」
「ああ、そういうことさ」
「わかりました。それじゃあ」
 こくりと頷いた。その言葉を受けることにした。
「このまま待ってます」
「おう。じゃあな」
 痩せた男はここで左手で敬礼するような仕草をしてみせた。悪戯っぽい仕草だがそれがやけに様になっていた。何処か気さくでそれでいて格好がつくものであった。
「またな」
「はい」
「じゃあ俺も」
 太った男も仲間の真似をして左手で挨拶した。右手の一升瓶が絵になっている。


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