第百九十話 増加装甲の絡繰り
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混ぜて誤魔化し、それと共に各星系の古新聞を集めた物とは黒狐だって思い浮かばないでしょうからね」
(パイクリートとは水にパルプを混ぜた物で第二次世界大戦中にイギリスやアメリカで氷山空母計画が有りその原料として使われた物で千トンクラスの実験船はカナダで実際に建造されている。更にディスカバリーチャンネルの怪しい実験で新聞紙パイクリートの対弾実験を行いライフル弾を受けても壊れないという強度を見せている)
「実際の所、此処まで強度があるとは驚いております」
「フフフ、それだけでは無くあの残骸も良く役に立っているわよね」
宇宙に漂う深緑色の残骸をテレーゼが指さす。
「御意」
「イゼルローン回廊に浮遊する、叛乱軍の艦艇の残骸をサルベージしてズラッ並べて接着剤のパイクリートと混ぜて装甲板に転用したとは、想像も付かないでしょうからね。尤も叛乱軍の艦艇は攻撃力は強いけど防御はなおざりだから何処まで行けるか心配だったけど、流石に何層かに並べておけば結構丈夫よね。流石はブリガージンの首飾りよね、見事に孤高の女王(イゼルローン要塞)を護っているわ。叛乱軍に流した情報ではブリガージンの首飾りがあると伝えたけど、本来首飾りは体に密着するものだから、アルテミスの首飾りのように周りにまわっている方が変なのよね」
「御意、敵も密着して居るとは思っていないでしょう。装甲の強度は満点と言えましょう。尤も敵の侵入ルートの関しては装甲を薄くしておりますのでその付近は早く破られるかと」
「ええ、そろそろ敵も揚陸艦を出すよね?」
「御意、流体金属が捲れ上がり、増加装甲板に穴が空きつつありますので、そろそろかと」
エッシェンバッハの応えに満足したのかテレーゼは傍らのオフレッサーに話しかける。
「装甲擲弾兵総監、そろそろ卿の出番よね」
そう言われたオフレッサーは頬の向こう傷を触りながらニヤリと笑みを浮かべる。
「そうですな殿下、敵が要塞へ入りたいというのですからそれ相応の対応をしてやらねば成りませんな」
「そうね、例え玄関のノックにレーザ水爆ミサイルを撃ち込んで来るような招かれざる客とは言え、丁重にお出迎えして帝国流の至れり尽くせりのサービスをしなきゃ帝国の沽券に関わるわね、その為に装甲擲弾兵を五十万人も呼んだんだからねっ」
テレーゼがニコリとウインクするとオフレッサーが大笑いしながら応える。
「ガッハハハハ、そうですな。部下共々最近は訓練ばかりで腕が鈍りそうでしたからな精々歓迎してやるとしましょうか」
そんな遣り取りをエッシェンバッハは額に手を翳して苦虫を噛みつぶしたような顔で見つめ、ゼークト駐留艦隊司令官、シュトクハウゼン要塞司令官、グライフス総参謀長以下の面々は唖然とした顔で見つめていた。
「オフレッサー装甲擲弾兵総監、卿と装甲擲弾
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