序章
0話 絶望の産声
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「だってほら………ゲームだもん………ほんとに死んじゃったりなんて、しないよね?」
「ごめん、俺にもわからない………」
嘘だと言ってやりたい。いや、俺自身も嘘だと信じたいが、茅場晶彦を名乗るあのアバターがログアウト機能を意図的に消滅させたというこの状況に加えて、ナーヴギアの構造、つまり信号素子のマイクロウェーブは出力をいじれば電子レンジのそれと変わらない。さらに、ナーヴギア本体には大容量のバッテリーが内蔵されている。頭部が収まっているナーヴギアを圧力や衝撃で破壊しようとする行為は考えにくい。恐らく外部から解除される場合はコンセントを引き抜くだろう。しかしその場合、充電解除をナーヴギアが感知して、それがトリガーとなって高出力のマイクロウェーブが発生することも考えられる。シチュエーションに隙が無い。愉快犯にしては設定が真に迫り過ぎている。
「残念ながら、プレイヤーの家族、友人などが警告を無視し、ナーヴギアを強制的に解除しようと試みた例が少なからずあり、その結果、二百十三名のプレイヤーがアインクラッド及び現実世界からも永久退場している」
ローブのアバターが宙に手を滑らせると、ニュース番組やネットの書き込みが映されたウインドウが展開し、プレイヤーの視界に入るように石造りの広場の上空を流れた。
俺の視界に入ったのは、いつも見ている番組の放送に割り込む形で放送された緊急特番だった。見覚えのあるアナウンサーが錯綜した情報を慌ただしく視聴者へ伝えようと苦心する姿が放送されている。
把握されている犠牲者の数字は、認めたくないがローブのアバターが公表した数字と同じだった。
………と、その画面に見入る最中だった。隣の見知らぬアバターが青く発光し、ガラスの割れるような音とポリゴン片となって消滅した。それから新たな犠牲者の報道が付け足されたのは間もなくのことである。
「ご覧のとおり、多数の死者が出ていることを含め、この状況をあらゆるメディアが報じている。よって、ナーヴギアが強制的に解除される危険は低くなっていると言って良かろう。つい今しがた、新たな脱落者がこのような形で現れたのは遺憾だが、諸君らは安心してゲーム攻略に励んでほしい」
「しかし、十分に留意してほしい。今後、HPが完全に失われた瞬間、諸君らのアバターは永久に消滅し、同時に諸君らの脳はナーヴギアによって破壊される。
諸君らが解放される手段はただ一つ、このゲームをクリアすればよい。
現在、君たちがいるのはアインクラッドの最下層、第一層である。各フロアの迷宮区を攻略し、フロアボスを倒せば上の階に進める。第百層にいる最終ボスを倒せばクリアだ」
蘇生手段が機能しない。
その言葉で真っ先に記憶に浮上したのは、つい数時間前までの《遊びだった》S
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