第二章
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「こっちが一点も取れないとね」
「野球は勝つからな」
「正直まずいわ」
千佳はここでこう言った。
「台風も近いっていうし」
「わかってるよな、ここで中止になったらな」
クライマックスの試合がだ。
「この一勝でな」
「わかってるわよ、しかも阪神二位だし」
「次引き分けでもだよ」
「阪神が勝つことになるのよね」
「ああ、希望が見えてきたな」
「やれやれよ。まあ台風が来なくて」
まずは天候から言う千佳だった。
「広島二連勝することを願うわ」
「その前に阪神が勝つさ」
寿は阪神グッズに身を包んだ状態でこちらは広島グッズに全身を覆っている千佳に言った。黒と黄色、赤と白の配色の二人はかなり目立っていた。
そして次の試合だった、阪神は能見が死力を尽くして投げ。
呉、福原で凌いでだった。やはりカープに一点もやらなかった。
阪神も大瀬良の踏ん張りの前に一点も取れなかった。延長戦にまで及んで引き分けだったが台風で中止になり。
阪神はファイナルステージ通過を決めた、ここで寿は自宅で千佳にここぞとばかりここんなことを言った。
「若し巨人に負けたらな」
「どうするのよ」
「僕はこの頭を虎刈りにするからな」
自分のその頭を指差して言うのだった。
「そうしてやるさ」
「またそんなこと言って」
広島が負けたのでだ、千佳はもう終わったと思い兄に冷静に返した。
「大変なのはこれからじゃない、第一ね」
「今年阪神は巨人にか」
「負け越してるでしょ、特に藤浪」
一戦先発の彼のことをだ、千佳は指摘した。
「巨人に勝ってないじゃない」
「いや、藤浪はここ真の虎になってな」
「巨人に勝つっていうの?」
「絶対にな」
寿は断言した、はっきりと。
「東京ドーム、悪魔の地で投げてみせるさ」
「悪魔ってね」
「だって僕東京嫌いだしな」
「行ったことないじゃない、東京に」
「それでもだよ」
嫌いだというのだ。
「東京なんて何処がいいんだよ」
「関西だからね、私達って」
「そうだよ、とにかくな」
「東京ドームで、なのね」
「そうだよ、阪神は巨人を倒すんだよ」
「そりゃ私だって巨人が勝つより阪神が勝つ方がずっといいわ」
この気持ちは誠だ、千佳はまさにその魂を広島東洋カープに捧げた真の鯉女だが阪神も決して嫌いではないのだ。だから兄にこう言えたのだ。
「けれどね」
「阪神が勝負弱いっていうんだな」
「そうよ、お兄ちゃん毎年秋はいつも叫んでるじゃない」
負けが込んで、である。
「それで巨人に勝つって」
「場所は敵地、しかも相手に一勝のアドバンテージか」
「まず勝てないでしょ」
「だからそこを今年こそ勝つんだよ」
「それで負けたらよね」
「ああ、虎刈りだ」
断言する寿だ
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