第百八十六話 国崩しその一
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第百八十六話 国崩し
長政と彼の軍勢と但馬に向かわせた信長は森、池田達と共に石山に戻った。そうして大軍で囲む石山御坊を見ながらだ。
家臣達にだ、強い声でこう言った。
「では今からな」
「はい、今よりですな」
「石山御坊との戦も」
「既に毛利水軍は退けてじゃ」
それにだった。
「幕府の挙兵もな」
「それも収め」
「そうして」
「本願寺は孤立させた」
完全に、というのだ。
「既に戦意はかなり落ちている筈じゃ」
「はい、確かに」
竹中が信長に応えてきた。
「既に本願寺に立て篭る者達はです」
「戦意が落ちておるな」
「毛利水軍のことも幕府のこともです」
「御主がじゃな」
「石山に文矢を射て」
そうしてというのだ。
「伝えておきました」
「毛利水軍のことはじかに見たがのう」
「幕府は見ておりませぬが」
「しかしじゃな」
「噂は耳に残ります」
そうしたものだからだというのだ。
「例えその真偽がわからずとも」
「それでじゃな」
「本願寺の戦意はかなり落ちています」
実際にというのだ。
「ですから後は」
「一押しじゃな」
「それで本願寺との戦は終わるかと」
そうだというのだ。
「ほんの」
「石山を攻め落とさずともな」
「戦意がなければです」
敵にだ、それが最早ないとなるとなるとだった。
「後は門さえ開けてしまえば」
「そういうことじゃな、ではな」
「今よりですな」
「皆の者、これより石山を攻める」
信長はあらためて家臣達に言った。
「そしてな」
「そうしてですな」
「今から」
「あれを前に出してじゃ」
「そうしてですな」
「攻めるぞ」
石山御坊をというのだ。
「わかったな」
「はい、では」
「戦を一つ終わらせましょうぞ」
家臣達も応えてだ、そしてだった。
織田家の軍勢はあるものを前に出して来た、そしてだった。
その前に出て来たものを見てだった、既に戦に飽いていた石山の者達は曇った顔でこう言った。
「何じゃ、あれは」
「大筒ではないのか?」
「うむ、そうじゃな」
「あれでか」
こうだ、疲れきった顔で話すのだった。だが彼等はそれを見てもだ、僧達には伝えてもそれでもだった。
うって出ることはしない、毛利水軍が敗れるのその目で見て幕府のことも確かめていないが聞いてもいてだ。
そのうえでだ、こう言うのだった。
「攻めるつもりか」
「そのつもりじゃな」
「どうしましょうか」
元々百姓だった兵達は僧達に問うた。
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