第二十九話 旅のはじまりその三
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「出来ればトラックの免許も」
「大型の?」
「取れるものは取っておこうって思ってるからな」
「便利だけれど女の子がトラックは」
「軽トラと同じか」
「ううん、また違うけれどね」
「何か違うか」
薊は裕香に言葉を返した。
「やっぱり」
「薊ちゃんトラックの運転手になりたいの?」
「そこまでは考えてないけれどさ」
それでもだというのだ。
「持っていたら使えるかなって思って」
「就職にも便利とか?」
「あと自衛隊だと女の人でもトラック運転するしさ」
陸上自衛隊では特にだ、自衛隊も車両がなくては何も出来ない。その中でもジープとこのトラックの存在は戦車よりも有り難い。
「そういうの見てさ」
「思ったのね」
「ああ、大型免許もいいかってな」
そう考えたというのだ。
「思ってるんだけれどさ」
「自衛隊はね」
「また特別か」
「あそこは軍隊だから」
それで、と言う裕香だった。
「また特別よ」
「トラックを運転することもか」
「そっちもね」
「そういえばガテンだよな」
女の子がトラックを運転するとだ。
「やっぱりないか」
「あまりね」
「便利にしてもな」
「そこまですることないんじゃ」
「それもそうか、まあそれでも車の免許はな」
「ええ、それ自体はね」
どうかとだ、裕香は薊にあらためて答えた。
「絶対に必要だと思うわ」
「車持たなくてもな」
「それでもいざという時運転出来たら便利だから」
それで、というのだ。
「いいと思うわ」
「そうだよな、じゃあ進学したらな」
大学、そこにだ。
「すぐに免許取るか」
「私もそうするわ、それか大学に合格してから」
「それがいいよな、それじゃあな」
ここでまた言う薊だった。
「車の免許取ったら車の旅行も楽しむか」
「そうしたらいいと思うわ」
「それじゃあな」
こう話してだ、そしてだった。
二人はあらためて今回の旅行のことを話した、その話が終わってからそれぞれの部屋で寝た、夏休みの寮は静かだった。
旅行に出る日だ、薊と裕香は一緒に寮を出たがその時にだ。
寮長先生、初老の女の先生にだ、二人共こう言われた。
「旅行、気をつけてきてね」
「変な奴にだよな」
「よく言われる言葉だけれど」
先生が言うことはというと。
「男は悪い狼よ」
「悪い、なんだな」
「狼にもいい狼と悪い狼がいるのよ」
そして変な奴、つまりそうした男はというと。
「悪い狼は何処にもいるから」
「そういう奴は叩きのめすんだな」
「そうしないといけない時はね」
そうしろと返す先生だった、実際に。
「二人共それは気をつけてね」
「わかったぜ、じゃあ行って来るな」
「私の主人もね」
「ああ、先生結婚してるんだよな」
「そ
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