第二十九話 旅のはじまりその一
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美しき異形達
第二十九話 旅のはじまり
夏休みになりだ、すぐにだった。
裕香は薊にだ、笑顔でこう言った。
「もう用意出来てるわよね」
「ああ、万端な」
整っているとだ、薊はその裕香に笑顔で答えた。
「何時でも行けるぜ」
「そう、じゃあ明日ね」
「明日朝飯食ってだよな」
「駅前で待ち合わせしてね」
八条学園の最寄り駅である八条学園前からだ。
「そうしてね」
「関西巡りか」
「大阪に京都、滋賀に三重に和歌山に」
「それで奈良だよな」
「全部巡るのよ」
「七人か、あたし達と」
薊と裕香、それにだ。
「菖蒲ちゃん、菊ちゃん、桜ちゃんに」
「向日葵ちゃんと菫ちゃんでね」
「七人か」
「黒蘭ちゃんと鈴蘭ちゃんは残念だったな」
「あの娘達はあの娘達でよね」
「ああ、行くらしいよ」
薊は裕香にこのことも答えた、今二人は裕香の部屋で話している。もう寮は夏休みに入っていて殆どの娘が帰省している。
その中でだ、裕香は冷たい麦茶を飲みつつ自分と同じものを飲んでいる薊に対して言った。
「行く場所は関西らしいけれどさ」
「じゃあ会うかも知れないわね」
「だよな、まあその辺りはな」
「縁だよな」
「縁があれば一緒になれるわね」
「だよな、けれどな」
「けれどよね」
裕香も薊が今言う言葉を察して応える。
「私達はね」
「あたし達は基本七人でだよ」
「女の子七人の旅ね」
「女子高生のな」
「そうね、女の子だけだけれど」
「七人もいてな」
そして、とも言う薊だった。
「それぞれ戦えるからな」
「私は違うけれどね」
「まあ相当な相手が出て来てもな」
旅先で会うことが想像される怪しい相手だ、ゴロツキであったりヤクザ者であったりする。そうした者は旅先で最も気をつけなくてはならないものの一つだ。
その一つについだ、こうも言った薊だった。
「叩きのめしてやるさ」
「それでも注意してね」
「胡散臭い場所には最初から近寄らずにな」
「怪しい人には近寄らない」
「最初からそうすべきだよな」
「君子危うきにはっていうからね」
「そうそう、そのこともさ」
薊はまた言うのだった。
「あたし院長さんに言われたよ」
「そのことも院長さんになのね」
「ああ、言われたよ」
「本当に薊ちゃんって院長さんに色々教えてもらってるのね」
「親代わりだからさ」
笑顔でもだ、薊は言った。
「それでなんだよ」
「色々と教えてもらって」
「感謝してるよ」
今もというのだ。
「実際にさ」
「いい人なのね」
「物凄くな、優しくて公平で」
その人についてもだ、話す薊だった。
「今もメールでやり取りしてるよ」
「
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