第五十四話 覚悟
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もし、現在ハンターベースの屋上に行けば、よく晴れた青空の下で、並んで立っている青年と少女を目にすることが出来る。
エックスとルナである。
屋上にいた彼女を見つけて今に至る。
鳥の囀りがよく聞こえる穏やかな昼下がりだ。
白い雲がたなびいて、エックスの視界の端から端まで、ゆっくりと流れていく。
エックス「怪我はもういいのか?」
ルナ「ん?ああ…大丈夫だよ。怪我ならとっくに治ってるから。やっぱりゲイトは凄いぜ。天才科学者の称号は伊達じゃない」
彼女の言う通り、彼女がイエティンガーから受けた傷は既に感知している。
まるで怪我をしていたことを感じさせないくらいだ。
ゲイトの技術力の賜物だろう。
エックス「そうか…」
しかしエックスはこの時ばかりはレプリロイドの高い自己治癒能力とゲイトの技術力を怨んだ。
だが、彼女にアクセルのことを伝えなければならない。
エックス「ルナ…アクセルはシグマに操られているだけだ。彼の意志で俺達を攻撃したわけじゃ…」
ルナ「分かってるよ…頭じゃ理解してるんだけど…」
アクセルがシグマによって操られ、自分達に攻撃してきた。
頭では理解していても、心はどうにもならない。
エックス「………」
ルナ「…イレギュラーハンターとして…アクセルを殺さないといけないのかな…?」
彼女の呟きにエックスの目元に皺が刻まれたが、少しの間を置いて口を開く。
エックス「彼が…あのまま、俺達に銃口を向けるのなら…戦うしかない」
ルナ「…だよな」
覚悟はしていたが、いざ言われると彼女の表情が悲しげに歪む。
エックス「仲間であっても……いや、仲間だからこそ引き金を引くのを躊躇ってはいけない。今のアクセルをあのままにしていたらどれだけの犠牲が生まれるか。俺はイレギュラーハンターとして、その現実から目を背けることは出来ない。それに…俺達の知るアクセルなら、イレギュラーでいることを望まないと思うんだ」
ルナ「……」
エックスの表情は、アクセルと戦う運命に対する悲壮感が色濃く出ていた。
しかしそれ以上の決意で強く引き締まっていた。
エックス「俺はアクセルの魂を救うために戦う。それがハンターとして俺に出来る彼に対しての手向けだ。」
ルナ「………」
空は徐々に明るさを失い、蒼い色を紅へと変えていく。
紅と紫の混じった夕焼けが凄烈な光を放ち、アクセルとの戦いへの感傷を否応なしに高めていく。
ゼロ「…エックス」
ゼロが屋上に姿を現す。
出撃を報せに来たのだ。
ゼロ「ヤコブの頂上にエネルギー反応を感知した……アクセルだ」
エックスは固く瞼を閉じ、ややあって頷いた。
司令室へと、足を踏み出す。
ルナ「待てよ!!」
振
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