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ファーストデート
第八章
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第八章

「じゃあ俺達どうなるんだ?」
「プロレスっていうとまさか」
「はい、言葉で言っても聞かない人はこの商店街ではプロレス事務所に来てもらうことになっているのです。これがこの商店街のルールです」
 こう彼等に説明する。
「ですからルールに従ってもらいます」
「げっ、偉いことになるぞこりゃ」
「やっぱりリンチじゃない」
「リンチではありません」
 ホーガンの言葉ではそうであるのだ。
「さあ、ではこちらへ」
 こうして彼等はプロレス事務所に連れて行かれる。そうしてそれと入れ替わりに瞬と梓が店から出て来た。彼等はその手にそれぞれぬいぐるみやストラップ、それにアクセサリーといったものを持っている。その顔は満面の笑顔でありにこにことしていた。
「いやあ、一杯買ったよな」
「そうよね」
 梓はにこにことして瞬に答える。
「こんなにいいものが一杯あるなんて」
「犬のアクセサリーだけでも随分とな」
「本当にね」
 見ればどのぬいぐるみやアクセサリーも犬のものだった。二人の大好きな犬のものばかりであった。その犬に囲まれてそのうえで笑顔でいた。
「またここに来たいわ」
「じゃあまたここに来るか」
「そうね」
 二人は笑顔で話をしていた。
「今度のデートでもな」
「何時にしたらいいと思う?今度のデート」
「再来週にしないか?」
 瞬は笑ってこう提案してきた。
「再来週。どうだよ、それで」
「そうね。再来週ね」
 梓は瞬のその提案を聞いて微笑みを浮かべた。
「その時までにアルバイトでお金を作っておいてね」
「そうだよ。じゃあ再来週な」
「わかったわ。じゃあその時は今回よりももっと楽しいデートを」
「しような」
「了解よ」
 二人は笑顔を見合わせてそのうえで言い合うのであった。こうして二人だけの楽しいとても満足した時間を過ごしたのであった。
 その翌日。二人はそれぞれ。身体のあちこちを痛そうにしている友人達と会うのだった。
「あれっ、御前等よ」
「どうしたのよ」
 二人はそれぞれのクラスで彼等に対して尋ねた。その様子が如何にもおかしかったからである。
「何か軽い交通事故でもあったのかよ」
「誰かに襲われたとかじゃないの?」
「交通事故より酷い目に逢ったよ」
「襲われたっていうか地獄を見たわね」
 彼等は憮然とした顔でそれぞれの場所で二人の問いに答えた。
「全くよ。プロレスラーが何であんな場所にいるんだよ」
「日本人じゃないでしょ、あのハルク=ホーガン」
「プロレスラー!?」
「ハルク=ホーガン!?」
 しかし二人はそれを聞いても何が何だか全くわからなかった。それでついつい首を傾げてしまう。どうしてもわからなかったのだ。
「何だよ、それって」
「ホーガンさんに会ったの?」

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