九校戦編〈上〉
懇親会というパーティー
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意だけだが。
「深雪、ここにいたの」
「一真さんも、ご一緒だったんですね」
エリカの姿が消えた方向を見ていたので、こちらに来る気配が分からなかったがすぐに理解した。
「雫、わざわざ探しに来てくれたの?」
「ほのかに雫もいつも一緒何だな」
この二人はいつも二人でワンセットという感じだし、行動も一緒だった気がする。
「友達だから、それに別行動する理由もないし」
「そりゃそうだな」
何か愚問だった気がしたので、照れた様子もなかった。俺が二人を呼び捨てにしたのは、顔合わせの時にそうなった。まあ自動的に俺が教鞭を振るう事になったからあちらはさん付けでこちらは呼び捨てでいいと、エイミィからの助言でそうなったようなもんだったな。
「そんで?他の皆はどこにいるんだ?」
訊ねたのは俺だったが、あまり気乗りしない声だった。いくら二科生とはいえ、バスでの出来事で俺を見るだけで顔を青くするからなのか。
「あそこよ。何だか一真さんの事を怖がっているみたいなの」
「まああの時の後遺症だろうに、俺を怒らせるからああなったんだから。精神干渉系のだから、もう少し時間が必要だろう」
ほのかが指差す方を見てみると、慌てて目を逸らしたり顔を青くしたりしていた男子生徒の集団がいた。バスの事件後に感謝を言わないで文句ばかり言った馬鹿者共達だからな、チームメイトの一年女子はそんな顔をせずにこちらを見ていたが一塊に固まっていた。
「まああれだけの事をやってお兄様に感謝の言葉もなかったのだから、しょうがないとはいえ。余程『死神の眼』によって恐れられているのかもしれないわ」
「そういえば『死神の眼』って何なの?」
ほのかがそう質問してきたので、俺の代わりに深雪が答えた。四葉家前代当主が使っていた『死神の刃』の改良版で、精神干渉系の系統外魔法である。相手の精神に強力な「死」のイメージの与える魔法で、「死」のイメージを与えられた者はそのイメージのシンボルを実際に見ることでイメージが何倍にも増幅されて肉体に作用し、死に至る。というのを睨んだり殺気を込めて睨む事だけで首と胴体が切り離されるという幻覚を見るんだと説明したのだった。
「それはしょうがないわね、深雪の側に寄りたくても一真さんの眼で睨まれたらまた幻覚が見えると思っているんだわ。だから近付かないんだと思う」
「それとエイミィ達もこっちに寄って来ないのは、蒼太達が目を光らせているからかもしれないな」
そう言うとエイミィ達は、こちらを見てもおいでおいでと手を振っている。俺や深雪に対してだと思うが、男子諸君はそうは思っていない様子だ。
「同じ一高生で、しかもチームメイトなのに。でもまあ織斑君の眼で睨まれた男子達は皆嫌な顔をしているのよね」
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