平穏無き世界ようこそ
[7/7]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
『あアヨ。つーか犬っころの野郎、最後の抵抗で暴れやがったから体中ボロボロになっちまってナァ。実質お前自身の体は一割程度しかないと言っても過言じゃあ無イゼ。だから毎日とは言わねぇが、エレレリアンを見つけたら喰って喰って喰いまくらなきゃいけねぇノヨ』
「……俺は、俺はもう……」
『アア、人じゃあネェ、人の形をした化け物だ』
訳も分からないままに殺されかかり寄生され、人の姿形を取った怪物へと変えられた瀧馬は、何を言うでもなくただただ呆然としていた。このまま狂えればどれだけ良かったかとも考え、しかし一時の感情でまだ死にたくないという恐怖もいだいた。
もしかすると狂わない様に彼の中にいるエレメリアンが、感情を少し食べたのかもしれないが、その可能性が本当だったとしても瀧馬は怒るどころかむしろ狂わずに済んだ事を感謝したかった。
しかし、呆然としていられる時間は長くない。自分自身の命も掛かっている為嫌だと逃げ出す訳にもいかない。
何時の間にやら何の連絡もなく息子が死んでは、彼の両親は大いに悲しむであろう。自分の好き嫌いの為に、大切な人まで巻き込めない。
「やるしか……無いのかよ……っ!」
『アア、殺るしかねぇノヨ』
これから瀧馬は否応にも戦いの場へ赴き、あの変態怪人共と接触し……己の糧とする為に喰らい尽くしていかなければいけないのだ。
今日を、明日を、その先を―――――無事 “生きる” 為に。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ