第一章
str2『第一層の地で@』
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していたのは《アームズコボルド・ソードマン》。大型の剣を構えたコボルド族だ。それが二体いるところまではいい。この二体はそれほどレアなモンスターではない。
最大の問題は、プレイヤーだった。
倒れている。部屋の中央に、ごっとりと。色の濃いフードに隠れて顔は見えないがどうやら気を失っているようで、モンスター達に気付いていない。
――――動かなかった理由はこれか!
このままでは、殺されてしまうだろう。
「……せぁっ!」
小さい気合いと共に、両手剣を抜き放つ。
「ぐるるるっ!」
コボルドがこちらに気付く。その時にはすでに《両手剣》用ソードスキル、《スマッシュ・アーク》が発動している。
両手剣の片手剣よりも大ぶりである、という利点を生かして、斬るというよりは殴りつけるような一撃。返す刀で、もう一撃。合計二連撃だ。《両手剣》スキルで最初期から使えるソードスキル、《スマッシュ》の上位互換で、使い勝手もいいため、クロスが重用している剣技の一つだ。
一体目のコボルドが吹き飛ばされると、二体目がこちらに近づいてくる。技御硬直の影響で動けない隙を狙おうというのだ。
だが、間一髪硬直は溶ける。熟練度50で追加Modとして選らんだ、《技御硬直時間短縮》が生きたらしい。
今度はソードスキルを使わずに、コボルドの剣戟を受け流す。隙を見て両手剣を突き出し、コボルドを吹き飛ばす。
先ほど攻撃した一体目が戦線に復帰。HPはすでにイエローゾーンへと陥っている。チャンスだ。
「……シィッ!」
再び《スマッシュ・アーク》。コボルドのガードの上から、二連撃の打撃が与えられ、遂にそのHPを空にさせる。断末魔と共に無数のポリゴン片へと爆散・消滅したコボルドをしり目に、二体目へと躍り掛かる。
こちらはまだHPがグリーンゾーンだ。何度か攻撃を当てつつ、上から斬り下ろすソードスキル、《ブレイク》を発動。重斬撃がヒットし、コボルドを切り裂いた。数瞬のスキルディレイの後、追い打ちをかけるように《グレイヴ》を打つ。直後、相手が爆散・消滅。コボルドを倒すことに成功した。
「おい、大丈夫か!」
気絶しているため、声は聞こえないだろうと分かっていながらも、反射的にそう叫びつつ、クロスは倒れていたプレイヤーに近づく。
ダークブラウンのフードケープは、第一層の店売りアイテムだ。クロスも一応一つ持っているが、顔を隠す必要がないため使っていない。何かの際に役立つだろう、と思って買ったのだが、結局つかっていないので、その内売ってしまおうかと思っていた。
そんなことを考えつつ、そのプレイヤーを抱き起そうとして――――触れた体の、柔らかさに絶句した。
「んぅ……」
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