第一章
str2『第一層の地で@』
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ど、ネットゲーマー揃いのSAOにはほぼいないに等しい。コボルドやゴブリンなどの亜人や、第一層序盤で出現するネペント系の植物モンスターなどは、そもそも現実世界には存在していない。
故に、モンスターと戦う際に、恐怖…怪物に対する恐怖と、デスゲームに対する恐怖…によって体が動かなくなり、なすすべもなく殺される、というプレイヤーが続出したのだ。
それにさらに拍車を掛けたのは、SAOに《魔法》が無いという現実。遠距離からの攻撃ができないため、必然的に敵に近づかなければならない。そうすると、恐怖はさらに増大する。
今ばかりは、クロスも恐怖を感じない己に感謝する。
因みに、β時代からの知り合いであるとある情報屋によれば、この時に死んだプレイヤーの多くがβテスターだったらしい。彼らは『経験者であるが故』に、引き際を間違えたのだろう、と言っていた。自分には知識があるから大丈夫、と過信したのだと。
なぜなのだろう。そう思った。全ての知識がアテになるわけではないだろうに。現に今まで、β時代とはドロップレートが異なるアイテムや、モンスターの出現率が変化している場所なども多く見てきた。
故に。
クロスには不思議でならないのだ。《過信》というドツボに、はまらざるを得なかった元βテスターたちの心情が。どうして自分は大丈夫、と信じてしまったのか。
ふと、そのとき、クロスは思い立った。
――――油断しては、いけないのだ。
――――もしかしたら、自分も、いつか。
注意しなければならないのだろう。そう確信する。
よくよく考えれば、先ほどのリザルト確認もそうだ。昔、リザルトを確認する時は必ず周囲を《索敵》してからにしろ、と、勇者顔の少年に教えられたことを思い出す。
なるほど、確かにそうだ。遅すぎるかもしれないが、クロスは一応《索敵》をかけてみる。
「……っ!」
鋭く息をのむ。
隣の部屋に、反応。プレイヤーがいる。今だプレイヤーが直接プレイヤーを手に掛ける《プレイヤー・キル》……通称《PK》は横行していないものの、事故を装って大量のモンスターをおびき寄せ、標的を殺させる《モンスター・プレイヤー・キル》ことMPKなら何度か発生しているらしい。
出会った人を一人一人疑っていては話にならないが、警戒して損はないだろう。
そう思って、するり、とその部屋を抜け出す。
すると、掛けたままにしておいた《索敵》に反応。隣の部屋にモンスターが出現したらしい。二体だ。
……だが。
「撃退、しないのか……?」
プレイヤーを示す光点は、微動だにしない。これはどういうことか――――少々不思議に思って、隣の部屋をのぞき込み。
絶句した。
出現
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