暁 〜小説投稿サイト〜
寄生捕喰者とツインテール
大食いと憤怒と渇望
頭痛の種
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 担任の、元から無い気合いを更に抜いている自己紹介が終わり、次いで何やら記載されている用紙を配り始めた。

 用紙には「部活動希望のアンケート」と書かれており、下には紹介された部活動の名前が全て書かれていた。
 また下には四角く囲われた空欄があり、上には少し小さな字で「新部活動・同好会を希望する際はここに書き記してください」と書かれている。入学早々で自分で部活動を作りたいと思う猛者は中々居ないだろうが、だからといっていない訳でも無いからこその措置だろう。


 彼は名前記入の欄に「新垣 瀧馬(にいがきたつま)」と書いた。瀧馬……それが彼の名前の様だ。


 が、肝心の部活動希望欄や新部活動。同行会設立希望の欄には何も書かない。コレは言わずもがな、帰宅部に所属する気満々なのだ。

 今すぐの所属では無く、あくまで希望を書いてくれと言われているのに、書いた希望が(と言うか書いていないので実際は空欄だが)いきなり帰宅部は無いだろう。



「はい、では後ろから集めてくださ〜い」
「えっ?」



 樽井担任の用紙収集の言葉に、隣に居た少年が体を少し震わせ眼を見開き周りを見回すという、まるで我に返ったのだと思っても不思議ではないような行動を取ったのを見て、瀧馬は再び眉をしかめ目を細める。


 そして脳裏に言葉を浮かべた……もう末期だなコイツ、と。



 後ろから段々と運ばれてくる様子をみて、少年は慌てて部活動記入欄に殴り書きで、希望を確りと書いていく。


 そして彼の心情を表す言葉が、シャープペンシルの動きが止まる共に書き終わって表れた―――






《ツインテール》と。





「ぐふっ!?」
「うおぅ!? ど、どうした!?」



 ツインテール……知っている人は知っているが、知らない人はどこぞの怪獣を思い浮かべるであろう……所謂髪を左右で結んで垂らした髪型の事だ。

 それを知っていたが故に、そしてこの場ではどう考えても飛びだして来ない筈の単語を見たが故に、何でそんな事を書いたのだと瀧馬は思わず噴き出してしまった。



「ちょっと、早く前に回してよ」
「あ、あの、はやくしてください……」

「あっ! ごめんい、今もってくから」
「……おう」



 少年は兎も角、瀧馬に対しては高身長と眼付きの悪さが災いしてか、後ろの生徒はちょっと引き腰気味に渡してくる。
 それを気にもせず瀧馬は受け取って自分の容姿を重ねて前に手渡した。

 集められた用紙をゆっくりだが一枚一枚見て行く樽井担任の手は、後数枚と言う所で不意に止まる。



「あれ〜? コレは……名前が無いですね〜?」
「あの、多分それ俺です」
「なるほど|
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