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バカとテストと白銀(ぎん)の姫君
第一部 最終話 彼と彼女の事情
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したか?」
微笑みを浮かべて私を見つめてくる彼女に、少しどきりとさせられる。
やっぱり、あの時とは人が全然違う。
「……千早さん」
「何でしょう。」
手に持っていた箸をお盆の上に置いた彼女は、私の目をまっすぐに見つめ返してくる。
その目はまるで、私の考えていることを見越そうとするように思えた。
私の一挙一動を事細やかに注視して、嘘でもついたら忽ちの内に見破られてしまいそうな、そんな風に感じた。
それでも、どうしても彼女には伝えなきゃいけない。私を救ってくれた彼女には、絶対に知っておいてもらわないといけない。
「……貴女がどうであっても、私は気にしないから。」
その言葉に、千早さんは驚いたような表情に成る。
「どうしても伝えたかったんだ。千早さんのことを、私は無条件で信頼するって、言いたくないことは隠していてくれても良いって。」
その言葉に困惑した表情を浮かべる千早さん。
「そのような事を言われましても……友香さん、(わたくし)の性格が悪いのはご存じだと思うのですが」
そんな風に千早さんは、少し悲しそうにも見える表情で私に答えてくれた。



いつか貴女の役に立ちたいと

いつか貴女の仮面の下を見てみたいと

いつかそんな表情を貴女がしないようになったらと

そう私は淡く期待する



「千早様、どうなさったのですか?」
「あぁ…史。」
部屋にコーヒーを淹れて持ってきてくれた史に声を掛けられ、思案の海から意識を戻す。
差し出されたカップを受け取り、そのまま少しだけ口をつけて机の上に置く。
「もしかしたら、男だって言うのがバレたかもしれない。」
僕がそう零すと、史の目の光がきつくなる。
「確証があるのですか?」
「『貴女がどうであれ、私は気にしないから』って、女の子に言われたのだけど。それ以外に解釈のしようがないだろうからね…」
「……その方が他の方に相談なさったりして、そのような噂が立ち上っているようなことは無いのですか。」
「今のところ無いね。彼女の様子だとそんなことは無いと思うんだけど、まだ油断は成らないだろうけど、ね。」
僕の言葉に耳を傾けている史に僕は笑いかける。
「でも、多分まだ大丈夫だと想うよ。」
「千早様がそのように仰せられるのでしたら史は構いません。しかし取り返しの付かなくなるような事が起きる前には、必ず史にも一言はご相談ください。」
そう言い募ってくれる妹みたいな幼なじみの姿に、僕は心が穏やかに成っていくのを感じていた。

「ありがとう、史。」
「いえ、史としましては出すぎているとは思いますが。」
失礼しますと、言いおき部屋から出ていく彼女を見送る。
再び机に向かい、僕は今までやっていた問題集の続きをする。
「保険は大事だからね。」
高校三年生ま
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