第一部 最終話 彼と彼女の事情
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僕としてはお世話に成りっぱなしの先生という印象がどうも拭えないのだけれども。
「特に、吉井。お前と坂本は今回の戦犯として厳重に監視してやるから心しろよ!」
「何を言ってるんですか、西村先生。僕らは絶対今まで通りの気楽なスクールライフを送るんですから!」
そういい返す吉井に僕は思わず感心してしまう。
ここまで意志が固いというのは相当なことだろう。
その強靱な意志力は他のことで是非役立たせてはどうだろうかと思わず心の中で皮肉ってしまう。
「お前には悔い改めるという発想は無いのか……」
大きくため息をつく西村先生の方がかわいそうに見えてきた僕だった。
西村先生が僕たちの担任として着任したその次の日。
「代表、遅いですね…」
「そうじゃの、いつもならとっくに登校しておるじゃろうにの」
昨日から連絡が付かない代表殿を不審に思っていると、どうも秀吉君のほうも同じ状況が続いているようだ。
二人で話していると、代表殿ではなく吉井が入ってきた。
「吉井君、今日はいつも以上にやつれて見えるのですがどうなさったのですか?」
入ってきてすぐに自分の机に突っ伏したそれ(吉井)に声を掛けると、吉井はぱっと顔を上げて僕を拝み始めた。
「お願い、今日だけ何かご飯おごってくれない?」
「どうなさったのですか?まさか昨日のデートで…」
「しっ!!」
昨日、吉井が姫路さんと島田さんというFクラスの女子二人を侍らせて(女子二人に拉致されて)いたのは周囲承知の事実だと思うし、こう言うときに限って異端審問会が何も制裁決議を行わないのは不思議だ。
「そうですね……」
女子組二人が僕と吉井の会話に耳をそばだてているのだけれども、どう反応すればいいのやら。
「そうなったのは、一重に吉井君の無駄遣いにも問題があると思います。しかし吉井君の予想を遙かに超える出費が合ったのだとすれば、それは出費させた方々の責任でもあると思います。ですから頼むのであれば私にではなく……」
「アキ、コンビニで買いすぎちゃったんだけどいる?」
そういっておにぎりを二つ押しつける彼女。
島田さん、焦りすぎだと思いますよ。
昨日普段は使わないほどの出費をさせてしまったということを自覚していたのか。
ところで彼らは昨日は一体何をしたんだろう、男女1:2の構成だから映画でも見に行ったのだろうか。もっともそれほど気になることでもないから詮索する気もないけれど。
「えっ、良いの!?ありがとう助かるよ!!」
「べ…別に感謝しなくていいのよ。買いすぎただけなんだから…」
そういいながらうじうじとする彼女の姿が好ましく見えた。
ああ言うのを恋する乙女とでも言うのだろうか。
どちらにせよ吉井の島田さんに対する好感度が少し上がったのでないだろうか。
(み…美波ちゃん…いつの間にそんなの
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