第一部 最終話 彼と彼女の事情
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けて教室から出るとそこには姫路さんと島田さんが待っていてくれた。
「お疲れ、千早」
「千早さん、お帰りなさい」
「ありがとうございます、美波さん、それに瑞希さんも。」
そう言って僕を労ってくれる二人に、僕は少し心が軽くなったような気がする。
肩をとんとんと叩いてくる島田さんと、僕に笑いかけてくれる姫路さん。
二人に囲まれながら僕は他に誰か近くに残っていないかとあたりを見回すと、島田さんは肩をすくめてみせた。
「他のみんなは坂本の追跡に行っちゃったのよ。全くこのクラスの男連中はなんとかならないかしら。」
「それは……仕方がないことではないでしょうか…」
Fクラスのメンツで唯一この場に残っていた女子組(秀吉君は木下さんから折檻を受けているため不在)に合流して、僕はFクラスに戻ったのだった。
「千早、何度も繰り返しになっちゃうけどお疲れさま。」
「千早さん、あの演出格好よかったですよ?」
「あれは……その…ありがとうございます。」
苦笑いに見えていたらいいのだけれども。
何しろ四方からため息だとか、歓声(黄色が混じった)だとかが飛んできたのだけれどあれ以上の(精神的な)攻撃は無かったと思う。
「それよりも、お二人とも第三試合で奮戦なさったではありませんか。特に島田さんは80点ほどの得点差を見事逆転なさったではありませんか。」
「あぁ、あれね。でも少し油断したとたんに、また木下さんにばっさり切られてしまったから……こういうときはあんまり調子に乗らない方がいいみたいね。」
あははと笑う島田さんは控えめな気質なのだろうか。
「もう、美波ちゃんは謙遜し過ぎなんです。今回も木下さんじゃなかったら圧勝していたじゃないですか。」
対して見かけによらず、少し過激で攻撃的な姫路さん。
うまいこと二人でバランスが取られていると思う。
「では、次の作戦をお二人にはお伝えしますね。」
こほんと咳払いをして僕がそう宣言すると
「えっ!?まだあるの?」
「どことやるんですか?」
不思議そうに首を傾げる彼女たちに声を潜めて、次の対戦相手を告げると悪人を見るような目線を僕に投げかけてくる二人。
仕方ないではありませんか、みかん箱で授業を受けるだなんて僕でもごめんですから。
Fクラスの面々が代表の追跡をあきらめ戻って後、今度は西村先生が教室に入ってきた。
「お前たち、遊びの時間はもう終わりだ。」
「てつ…西村先生、どうしてここにいるんですか?」
吉井が代表して尋ねると笑顔で西村先生は答えた。
「今日から俺がお前たちの担任に福原先生の替わりに付くことになった。よかったな、これから一年間死に者狂いで勉強できるぞ」
「「な、何だって!!」」
教室の大半を占める男子たちが一斉に叫ぶ、それほどまで西村先生のことが苦手なのだろうか。
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