第一部 最終話 彼と彼女の事情
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う。
はぐらかされた僕の答えに不満そうな表情を浮かべる霧島さん。
しかし、何かを自分の中で納得させたのか、すぐにいつものポーカーフェイスに戻る。
「……参謀さんがそう言うなら、そうなのかも。期待している。」
少し困ったような表情を浮かべたAクラスの代表はFFF団による包囲の輪の中に入り込む。
厳重注意を受けている真っ最中の代表の首根っこを掴み、そのまま自分の前に投げる…って霧島さん、今あんなに体格の良い代表を投げましたよね?
恐るべしというか何というか。
「…雄二、私と付き合いたくないって言うのは聞くから、今日は今からデートに行くこと。休ませないから。」
「ちょっと待て!俺は拒否したはずじゃないのか!!おい翔子、首はやめろ首はあぁ!!」
そのまま教室から出ていく二人を誰も止めることは出来なかった。
「諸君、異端者坂本雄二をこれより追跡する。諸君それぞれの任務に就け!」
「「「イエッサー」」」
どたばたと教室から走り出る黒服面のみなさん、一気に教室内の人口密度が下がってしまったように思うけれども(特に男子の割合)、あの中にはAクラスのメンバーもいたのではないだろうか。
そう思っていると複雑な表情の久保が僕のところにきた。
「妃宮さん、良い試合を見せてもらったよ。とは言え、妃宮さんみたいな戦いは僕には真似できないだろうけれどね。」
「そうですね、私のやり方は少し卑怯と言われてしまいますからね?」
「はは、それは妃宮さんの人柄でカバーできているじゃないか。それより、今度の戦後処理は僕が担当することになったのだけれど僕たちは事前に言われていたとおり、休戦は受け入れるよ。」
なるほど、Aクラスの代表が消えてしまったから代わりに次鋒の久保がF参謀の僕のところに来たってわけか。
「ありがとうございます、私はお約束していただければ十分です。」
「そうか……」
思案顔の久保が声を潜めて僕にこう囁いてきた。
「つかぬことを聞くんだけどね、吉井君のことを妃宮さんはどう思っているんだい?」
その顔は真剣そのものであり、茶を濁すことを許さないといった気迫がこもっていた。
「…そうですね。時々天才なのではないだろうかと思います、それに作戦的には使い方次第では最強の切り札に成るとも思います。もし人間性をお尋ねなのであれば……少なくとも、世話焼きな心を掴んで離さないと言った気質をお持ちかと。」
僕はまるで先ほどまでの試合について久保と話しているかのように、自然体でそう答えた、もちろん周囲(特にFクラスの女子組)を警戒しながら答えている。
「……世話焼きな心を掴んで離さない、か。おもしろい例えだね。ありがとう、じゃあ僕はこれで。」
紳士に振る舞う彼が、道を踏み外すことがなければとその後ろ姿に祈る僕であった。
背を向
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