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1話.減らず口と睡蓮 〜邂逅〜
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手とは比べ物にならない速度で襲来する二つの攻撃に、男は今度こそ覚悟を、――男が最も恐れるもの、『死』への――した。

 耳を劈くような爆音が鳴り響き、爆風が男を吹き飛ばすことは、しかし、なかった。

 呆然とする男の目の前で爆風を塞き止めたのは、光の花―――睡蓮だった。
 闇に花開いた睡蓮が、男を守るように、柔らかな光を伴って咲き誇っていた。
 手を伸ばして触れてみると、確かな暖かさが、男を励ますように掌に帰ってきた。
 眼前では、狂犬と妖女が自らの一撃を容易く阻んでいる睡蓮を睨みつけ、歯噛みするように力を込め続けているが、花はびくともせず、力強く男を守り続けている。
 焦れた狂犬と妖女が、吼え声とともに更に力を込めようとしたその時、再度空から降り注いだ閃光が、狂犬と妖女を眩い光と共に灼き焦がした。

 「――――――――!?」

 睡蓮の障壁を破ることしか頭になかった二匹の怪物は、不意打ちのように真上から照射された光に対し、何の備えもないまま直撃の憂き目に遭い、白煙を上げながら倒れ伏し、そのまま動かなくなった。
 ただただ圧倒的な眼前の光景に対し、立ち尽くしたままだった男の前で、広がる光は秒刻みで強く、力強く光量を増していった。
 
 そして、広がる光は形を成し、ついに男の前に人型を象って顕現した。


 
  ――――花開いた――――



 そうとしか形容できないような光景だった。
 大輪の睡蓮が咲き誇り、花弁が宙を舞うように乱れ散った。
 男に背を向けるように、男を守るかのように降り立ったのは、光り輝く睡蓮の女神だった。
 すらりと均整のとれた肢体を包み込む薄桃色の衣が、結い上げられ長く長く流れる金色の髪が、花風に揺れるようにたなびいた。
 女神は、その美しき後ろ姿において、そこだけは人間とは異なっている、六(・)本(・)あ(・)る(・)腕を、広げた。
 広げた六本の腕のそれぞれには、色とりどりの睡蓮の花が捧げ持たれていた。
 腕を広げた女神は、捧げ持たれた睡蓮たちと相まり、一つの優美な『花』として、男の前に咲きこぼれた。
 そして、美しさにただただ見上げるばかりだった男の方へ、睡蓮の女神が振り向いた。
 
 見蕩れる、というのはまさにこのことだろう、と男は心のどこかでそう感じていた。
 
 美麗な花のように、たおやかでありながら、どこか幼くもあるような可憐さを併せ持った、そう、正しく神々しい、闇夜の迷宮の中でさえ霞むことのない、気高き美しさを湛えた顔が、微笑みをもって振り返り、男と視線を絡ませた。
 
 途端、睡蓮の女神は、湛えた微笑の中に、確かに驚愕の色を見せた。

 
 ―――どうして―――


 と女神の唇はそう紡いだかのように、男には見えた。

 しかし
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