聖夜に捧ぐ『フローエ・ヴァイ・ナハテン』〜クロスクエスト〜
第三幕
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ナカイ頭の怪人はバラバラに引き裂かれ、大地に転がっていた。
「……気持悪」
死体が残るのは気分が悪い。それが人間要素が混じった異形ならなおさらだ。ミヤビはグロテスクなモノには耐性があるから構わないが、そういうのが無理! という人間にはきついだろうなぁ、とか考えてみる。
「……まぁ、我慢する」
とにかく、クリスマスプレゼントを探そう。もう、キリトに何をあげるかは決まっていた。きっと喜んでくれるに違いない。
ミヤビは先ほどとは打って変わって、上機嫌に笑みすら浮かべながら、その場を後にした。
***
「せぁぁっ!」
斬りつけられた奇怪な怪人、その傷口が爆発する。振り向きざまにもう一体を切りつけて、飛びずさる。
ゼツが《天宮》を名乗る青年の導きでこの世界にやってきてから、既に三十分余りが経過している。数分前から出現し始めた、この謎のトナカイ怪人は、一体一体は恐ろしく弱いものの、いかんせん数が多く、しかも死体が消えずに残るという邪魔臭いことこの上ない最悪仕様までもついていて、非常に厄介だった。
「よっと!」
投剣ソードスキル、《トライシュート》によって、三本の投剣が勢いよく投擲される。それらはトナカイ怪人に次々と突き刺さると、
「爆発ろ!」
爆発する。
全く、この世界でも《爆炎剣》が機能していて、本当に良かったとつくづく思う。炎を操るこのスキルは非常に使い勝手がよく、SAO時代からゼツを支えてくれていた。単純に爆発攻撃を行うだけでも十分な破壊力を生み出してくれるし、専用のソードスキルや、《覚醒の短剣》によるアルティメットスキル化を使えばさらに強力になる。
「それにしても……」
ちらり、とゼツは戦闘相手であるトナカイ怪人を見る。
真っ黒なフードに、細い体。手には不気味なダガーを握っている。どこか盗賊ビルドのプレイヤーめいたその外見を、明らかな異形だと決めつけているのは、仮称の元ネタにもなっているその頭。フードを突き破ってにょっきりと生えたそのトナカイ角だ。サンタクロースのソリを引くトナカイを模しているのだろうが、なんというか、気持ち悪い。
フードの奥から見えるギラギラした目は、しかし殺意以外の何者も感じない。
そして何より――――
「だぁぁぁっ!! いつまで増えるんだよこいつらはぁぁぁっ!!」
現在進行形で増殖し続けていた。
SAO時代のモンスターのPopとは異なる、影のようなものから形成されるというPop方法。同時に相手にする対数は十体ほどだが、倒しても倒しても無尽蔵に湧いて出るため、キリがない。すでに三十体ばかり切り捨てただろうか。
「くっそ
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