九校戦編〈上〉
バス旅行中×日本の家系について
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トを掛けて差し上げるんですか?ではどうぞ」
納得したと言わんばかりの訳知り顔で席を立ち、市原先輩は目と言葉で、服部に促した。会長はと言えば、心得たとばかり、恥ずかしそうな上目遣いで大きく開いた胸元を両手で隠す真似をする。あーあー、完全に策にハマった様子だな。服部はブランケットを両手で広げたままフリーズしてしまった様子を見た俺ら。会長と市原先輩は予想通りとなったのか、いつもより抑えが利かない状態を知っていた真由美と鈴音だった。
「何をしているんだ、あいつらは・・・・」
硬直している服部を、期待に満ちた眼差しで真由美を見上げ、それを横から鈴音が冷ややかに見ているという変則的な三竦みに摩利は微かな、自分以外には聞こえない程度の呆れ声をため息と同時に吐き出した。いつも通り服部が真由美の玩具にされているという様子だ、と分かって浮かせていた腰を座席に戻すのだった。口に出さなくとも摩利も真由美の体調を心配しただけ損したという感じだ。
「まあ・・・・いつも通りか・・・・」
ああやって真由美が弄り倒すから、服部がストレスを溜めこんで必要以上に二科生に対し見下していそうな態度を取り、更に副会長の振る舞いを会長として真由美が思い悩むという悪循環が生じているがまあ何とかなるのが内心思っていた。真由美が自分よりも遥かに大きな気苦労を常日頃抱えている。というのは摩利も知っている。彼女の実家は実家こそ古いが、渡辺綱の末裔かどうかは嘘か真かは分からず仕舞い。現在の勢力地図上で見るなら、百家の末流に辛うじてぶら下がっている。という程度。摩利は一種の突然変異と言うか先祖返りと言うか鬼子と言うか、とりあえず親類縁者の中で一人だけ突出した魔法の才能を有しており、その分、家族の期待は大きいものの魔法師社会で他家との駆け引きに煩わせるという事は、ほとんどない。あと鬼子というのは戦国†恋姫にいた鬼子とは違うのでここで言っとく。
それに対して現在四葉家と共に十師族の頂点に君臨している七草家の、跡取りではなくとも直系でしかも長女である真由美には高校在学中にして、高校生にもならない内からたびたび縁談が舞い込んで来ている。噂ではなく確実な情報で、彼女自身も十師族の中で比較してもなお「傑出した」と言える魔法才能の持つ将来を嘱望されている魔法界のサラブレッドだ。それに加え学校では生徒会長など務めて要らざる気苦労を背負い込んでいる有様。芯はタフでも楽ではない。ちなみに十師族の頂点が四葉家でも七草家であるが、十師族をコントロールしているのが零家だと言うのは最近になって知った。少し羽目を外すくらい見逃すべきだろうと摩利は思う。
そんな訳で、エスカレートするまで放置しておこうと何だかんだ言って、服部も構ってもらえて嬉しいようだし、と決めたか決めつけた摩利は、窓の外を見た。彼女の席は
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