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ソードアート・オンライン〜十一番目のユニークスキル〜
唯一無二の不確定因子
第十九話 二刀に込めた思い
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キリトの声にアスナは背を向けたまま頷くと、裂ぱくの気合いとともに突き技を放った。
「イヤァァァァ!!」
純白の残光を引いたその一撃は、空中でグリームアイズの剣と衝突して火花を散らせた。大音響とともに両者がノックバックし、間合いができる。そのタイミングを逃さず叫んだ。
「スイッチ!!」
キリトはリオンが死んだ時、一番後悔していた。PoHとの戦いの時本気を出さなかったからだ。正確に言うならば、あるスキルを使わなかった。それは攻撃特化仕様たるキリトの切り札と呼べるもの。
――――俺があの時出し惜しみをしなければリオンは死ななかったかもしれない・・・・・・今更後悔してももう時間は戻らない・・・・・・それでも今、今ならアスナを、みんなを、
救える
(
・ ・ ・
)
!!!
キリトは敵の正面に飛び込んだ。硬直から回復した悪魔が、大きく剣を振りかぶる。
炎の軌跡を引きながら打ち下ろされてきた巨剣を、キリトは右手の剣で弾き返し、間髪入れず左手を背に回して新たな剣の柄を握った。抜きざまの一撃を悪魔の胴に見舞う。
「グォォォォォ!!」
憤怒の叫びを洩らしながら、悪魔は再び上段の斬り下ろし攻撃を放ってきた。今度は、両手の剣を交差して受け止め、押し返す。悪魔の体勢が崩れる。その隙にキリトは二本の剣でラッシュを開始した。
甲高い効果音が立て続けに唸り、星屑のように飛び散る白光が空間を灼く。
これが、キリトの隠していたスキル。エクストラスキル≪二刀流≫。そして、上位剣技≪スターバースト・ストリーム≫。連続十六連撃。
「うおおおおおあああ!!!」
彼はPOHの時に、このスキルを使わなかった自分を責めるかの如く叫んだ。途中の攻撃がいくつか悪魔の剣に阻まれるのも構わず、左右の剣を敵の体に叩き込み続ける。悪魔のHPが着実に消えていく。そして、最後の十六撃目。
「・・・・・・ぁぁぁああああああ!!」
キリトはひときわ大きな雄叫びをあげて、悪魔の胸の中央を剣で貫いた。直後
「ゴァァァアアアアアアア!!」
という絶叫とともに、グリームアイズは膨大な青い欠片となって爆散した。
――――終わった・・・・・・
キリトは両の剣を切り払い、背に交差した鞘に同時に収める。次の瞬間、彼は声もなく床に転がった。
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