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戦国異伝
第百八十五話 義昭の挙兵その十三

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「話を聞こうと思っておったが」
「それでも」
「おらぬとはな」
「まことに。奇怪なことに」
「南禅寺にもじゃな」
「はい、あの寺にもです」
 崇伝が住職を務めていたあの寺でもだというのだ。
「人をやりましたが」
「おらぬか」
「その様です」
「探せ。どうもあの二人はな」 
 直感的によからぬものを感じてだ、信長は信行に言った。
「天下を乱す者達の様じゃ」
「妖僧ですな」
「おそらくそうであろう」
 そう言っていい者達だというのだ。
「だからな」
「天下を探し回り」
「見付けたらわしの前に連れて来るのzた」
「畏まりました」
 信行は確かな声で兄に答えた。
「そうさせて頂きます」
「その様にな。そして都のこともな」
 ここのこともだというのだ。
「乱は収まったがな」
「それでもですな」
「引き続き御主に任せる」
 信行にというのだ。
「わかったな」
「ではこのまま」
「東への兵糧や武具の手配も頼む」
 そういったこともだというのだ。
「あちらでも暫くすればな」
「戦ですな」
「毛利との戦が終われば向かう」
 東にというのだ。
「その為の用意をしておれ」
「さすれば」
「ではわしは石山に戻る」
 そうしてというのだ。
「今度こそな」
「本願寺をですな」
「倒す」
「ではご武運を」
 信行はその信長に答えた。
「これで本願寺との戦もですな」
「完全に終わる、ではな」
 信長は信行にこう言ってだ、そしてだった。
 幕府を終わらせてすぐにだった、自ら軍勢を率いて都を出た。そのうえで天下に向かいそうしてそのうえでだった。
 都から石山に向かう、その途中で。
 信長は長政にだ、こう言った。
「猿夜叉、御主は但馬に向かえ」
「あの国にですか」
「そして山陰での戦の用意にかかれ」
「因幡攻めですか」
「そうじゃ。猿も向かわせる」
 そうしてだというのだ。
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