第二十八話 横須賀の思い出その十五
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「熱も遮断するからね」
「だろうな」
「だから君は僕を倒せないんだよ」
「これまでのやり方だとな」
薊はまたにやりと笑って言った。
「無理だよな、確かに」
「面白い言い方をするね」
「冗談には自信ないんだけれどな」
薊はにやりと笑ったまま返す、そして。
一旦後ろに軽くステップして間合いを開けた、そこから。
怪人が鋏を出してきたところでそれをかわす形で跳んだ、だがいつもの跳躍力を活かした高いジャンプではなく。
軽いものだった、そのジャンプと共に。
怪人の背に着地した、そしてだった。
その後ろからだ、一旦棒を天高く上げて投げてから。
怪人の身体を掴んでだ、全身からこれ以上はないまでに激しい炎を出しつつ。
背中から、その背筋を使ってバックドロップの要領で投げた、怪人は薊のその投げでまともに脳天から地面に激突して。
頭の甲羅が割れた、そしてだった。
その頭から薊の炎を受けてだ、露わになったそこだけでなく全身を焼かれ。
薊に掴まれたまま符号を出した、それを見てだった。
薊は怪人から身体を離して立った、そこに棒が落ちてきて。
その棒を右手で掴んでからだ、こう言った。
「上手くいったな」
「まさかそう来るとはね」
「甲羅があったら割ればいいんだよ」
笑っての言葉である。
「そうして中を攻めればいいんだよ」
「そうだね、確かに」
怪人は立ち上がりながら薊に言った。
「甲羅があればね」
「そういうことだよな」
「面白いね、確かに」
怪人は薊の前にふらふらとなりながらも立って言うのだった。
「君は」
「何度も言うけれど冗談は得意じゃないぜ」
「いや、冗談が上手とかいう問題じゃないよ」
「じゃあ何が面白いんだよ、あたしの」
「君自体がね」
「あたし自身がかよ」
「うん、さっきの投げ技といいね」
バックドロップそのままの投げもというのだ。
「咄嗟には中々思いつかないよ」
「それであたしは面白いっていうんだな」
「そうだよ、君は本当に面白いよ」
「そう言うんだな」
「うん、確かに頭にも僕の甲羅はあるけれど」
見れば頭の部分のそれは綺麗に割られている、それで防御が完全になくなっている。
「一番上をぶつけて割るなんてね」
「どんな硬いものでも一点、そこを潰すやり方があるんだよ」
「それが脳天なんだね」
「脳天は硬い様で脆いんだよ」
このことは人体でも同じだ、脳天は頭蓋骨の一番上であり硬い部分である筈だが頭蓋骨の頂点であり最も割れやすくそしてすぐ下に脳がある人体の急所の一つなのだ。
「だからそこを攻めればな」
「倒せるっていうんだね」
「その通りに出来たな」
「とっさきの機転で勝つ」
「それがあたしの闘い方になってるな」
「うん、君は確か
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