Episode32:アイス・ピラーズ・ブレイク
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の威力が倍増した。本来の『這い寄る雷蛇』の威力を逸脱した規格外の雷撃に、氷柱の融解が加速する。
その異常に気づき慌てて氷柱に情報強化を施すも、最早氷柱は辛うじて立っているだけ。
降り注ぐドライアイスの弾丸に耐え切れず、氷柱は軒並み砕け散った。
決勝リーグ第一戦は、隼人の勝利で終了した。
隼人が一高の天幕に戻った時、既に深雪と雫の試合は始まっていた。
使用したシルバー・フィストを外しながら、控え席にあるモニターを眺める。
深雪が発動した氷炎地獄の熱波によって氷柱が溶けるのを雫が情報強化で防ぎ、雫の共振破壊が共振を呼ぶ前に深雪の振動・運動を抑えるエリア魔法が鎮圧される。
互角ながらも、やはり雫が押されている。氷炎地獄は変わらず雫の氷柱を溶かし続けているが、雫の攻めは全て完全に遮断されてしまっている。
分が悪いと判断したのか、雫は左腕を振袖の右袖に差し入れた。引き抜かれた時その手に握られていたのは、拳銃形態の特化型CAD。銃口を深雪陣地の氷柱へ向けて、雫はその引き金を引いた。
(CADの二機同時操作か。やるね、雫)
CADの二機同時操作に驚いたのか、深雪の魔法継続処理が止まり、雫の陣地を焼く熱波が収まった。そこへ、雫の魔法が襲い掛かった。
超音波の振動数を上げ、量子化して熱線とする高等振動系魔法『フォノンメーザー』によって、今まで相手選手に触れさせもしなかった深雪の氷柱から白い蒸気が上がっていた。
だが、深雪が動揺したのは一瞬。すぐ様冷静さを取り戻し、魔法を切り替える。
氷柱からあがる蒸気、それに伴う氷の昇華が止まった。
熱線化した超音波射撃を遮断するのではなく、フォノンメーザーによる加熱を上回る冷却が作用し始めたのだ。
深雪の陣地が白い霧に覆われ、そしてそれはゆっくりと雫の陣地をも包み込む。
深雪の攻撃を忌避した雫が、氷柱に情報強化を施した。
隼人も使った、広域冷却魔法『ニブルヘイム』。その威力は今、最大になっていた。
雫の氷柱の根元に、液体窒素の水溜りが作られる。
深雪がニブルヘイムを解除し、再び氷炎地獄を発動した。
(勝負あり、だね)
雫の情報強化は元々そこにあった氷柱を対象にしており、新たな付着物である水滴には作用していない。
気化熱による冷却効果を上回る急激な加熱によって、液体窒素は一気に気化した。
轟音を立てて、雫の氷柱が一斉に倒された。
かなりいい試合だったが、やはり目立ったのは二人の地力の差。やはりまだ雫では深雪に勝つことは叶わない。
(悔しいだろうな、雫)
だが、圧倒的強者と認識していた深雪に一太刀報いたのだ。もっといけたと、その悔しさはひとしおだろう。なまじ自分でもその経験があるために、雫の
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