Episode32:アイス・ピラーズ・ブレイク
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、やらねばならない。
それしか作戦がないのなら、それがあの魔王に通用する手段なのだとしたら、やってやる。
☆★☆★
大会六日目、新人戦三日目。
アイス・ピラーズ・ブレイク第三回戦。
巫女服の女帝が三度神懸かり的な魔法で敵陣を蹂躙する中、執事服の魔王も今日は積極的に敵陣の氷柱を倒しにかかっていた。
白い手袋に包まれた指先がタブレットの画面を走る。
上方から降り注ぐ氷の礫、倒された氷柱を使用したトリッキーな攻撃を、運動ベクトルを反転させる力場を作り出す領域魔法『反射障壁』によって弾き返す。
驚く相手を他所に、再び指先がコンソールを走り、発動された『ファランクス』が最後の三本を叩き潰した。
試合終了のブザーが鳴る。万雷の喝采に対し一礼して、魔王はその場を後にした。
「へぇー、そうなんだ」
場所は変わってお祭り状態な第一高校天幕。
素直に感心する隼人に、雫は無表情に、しかし力強く頷いた。
新人戦女子アイス・ピラーズ・ブレイクは、異例の決勝リーグの三人を一高が独占する形となった。
結果、消耗の激しかった英美は棄権し、雫と深雪で決勝戦を行うことになったのだ。
「それにしても、雫と深雪さんの試合かぁ。中継でしか見れないのが残念だよ」
勿論のこと、隼人はこれまで三試合共に完封勝利で決勝リーグの進出を決めている。
彼の他には、三高の一条将輝と二高の選手が決勝リーグに駒を進めている。
「深雪さんはかなり手強いけど、がんばってね雫」
「うん、がんばる」
どうやら気合は十分なようだ。雫はこれまでずっと好調を維持し続けてきたため深雪に勝てるとはいかなくても、いい勝負になるだろう。
深雪との試合で悔しい思いをするだろうが、しかしそれ以上に得るものは大きいはずだ。
「それじゃあ、そろそろ準備だから」
「うん、行ってらっしゃい雫」
隼人の試合はこのすぐ後と、そして女子決勝戦が終わった後に一試合ずつある。三つ巴である決勝リーグを勝ち抜くには、まずは二高の選手にしっかりと勝利しなければならないだろう。
「さてと。行きますか」
タブレット型CADを一旦お休みにして、隼人は白の手袋の代わりに漆黒のグローブを嵌める。
やはりいつも使っているシルバー・フィストの方が馴染むようだ。
☆★☆★
充満した二酸化炭素の霧の中を、幾筋もの雷が駆け抜ける。
ドライ・ブリザードによって威力が増強された『這い寄る雷蛇』が敵陣の氷柱を高熱で溶かし始める。
しかしそれでは決め手にならない。安堵の表情を浮かべる二高の選手に向けて、隼人も笑みを浮かべた。
「なっ…!?」
突如として雷撃
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