暁 〜小説投稿サイト〜
魔法科高校の神童生
Episode32:アイス・ピラーズ・ブレイク
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A級受験者用の課題として出題され、受験者の悉くを落としてきた高等魔法だ。そう簡単に誰でも発動できるものではない。

見るに、深雪のお陰で観客が大分女子の方に流れているようだ。それに安堵の溜息をついて、キリキリと痛む胃を押さえつける為に腹を一発殴る。
隣にいた梓がギョッとしているが構わない。こうでもしないと緊張に弱いこの体とメンタルは持ちそうにないのだ。

「だ、大丈夫ですか?」

「大丈夫です。本番に弱いだけなんで」

それってマズイんじゃあ…? という梓のツッコミを無視して、自分の前の試合を見やる。
六高選手の最後の一本が倒れた。どうやら、勝負は決したようだ。
そして女子の試合も終了のブザーが鳴る。どうやら、そろそろ隼人の出番らしい。

「だ、大丈夫ですよ! 気楽に!気楽に行ってきて下さい!」

「頑張りますです!」

謎言語を発する隼人に更なる不安を募らせる梓が見守る中、燕尾服に身を包んだ少年はステージまでの道を急いだ。



† †




新人戦二日目のアイス・ピラーズ・ブレイク予選の最後を飾る試合。
深雪の試合に観客が流れているという隼人の期待は容易く裏切られ、観客席には多くの人が集まっていた。恐らくは女子最終戦と男子最終戦の試合間隔が長かったため、深雪の試合を見ていた人達が流れてきたのだろう。
その事に胃がキリキリと痛みだすが、しかし覚悟は済ませてある。
ざわざわと騒がしい雰囲気の中、燕尾服の裾を靡かせ、隼人は櫓を登った。

「ーーーー」

想像以上の歓声に言葉が詰まる。しかし切り替えた思考は冷静に、すべきことを判断し実行する。
執事のように深々と礼をした隼人に、再び観客席から歓声が上がった。

隼人が観客の注目と歓声を一身に受ける中、向こう側の櫓に七高の選手が登ってくる。相手の格好は彼の趣味なのだろうか、昔ながらの海軍の将校服を身に纏っていた。まあ、『海の七高』と呼ばれているからそれにあやかったのかもしれないが、そんな事は今はどうでもいいことだった。

二人が所定の位置につく。七高選手は右手の袖を捲りブレスレットタイプの汎用型CADを構えて、隼人は左手にタブレットタイプの汎用型CADを握る。


試合開始のブザーが鳴った。


「ーーっ!」

先に仕掛けたのは七高の選手。発動したのは振動系魔法だが、恐らく氷柱自体を振動させることで『共振破壊』を試みたのだろう。しかしそれは隼人の『情報強化』によって無力化されてしまった。
しかし七高の選手もそれは想定済みだったのだろう、振動魔法を複数の氷柱に仕掛ける。

「甘いよ」

しかし、それら全てが隼人の情報強化の前には無意味。
埒があかないと悟ったのか、七高選手が共振破壊を諦めて他の魔法に切り替え
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