Episode32:アイス・ピラーズ・ブレイク
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定した。
「お疲れ様、雫」
「お疲れ! かっこよかったよ」
「…ありがとう」
達也と隼人からの賛辞を受け取った雫は、恥ずかしそうに下を向きながら礼を言った。
「そういえば、隼人は準備しなくていいの?」
「ん、俺は男女合わせて一番最後だからね。昼食べてからだからまだ余裕はあるんだ」
流石に深雪さんの応援はできないけどね、と付け加える。
深雪は女子の一番最後の出番故に、その時には隼人は最終調整をしていなくてはならない。少しでも観客の注目が深雪へ移ってくれと願っているらしい。
「まあなんにせよ、ご飯食べに行こっか」
「…! うん、行く」
「…すまないな隼人。俺は少しCADの調整をしなければならないから遠慮しておくよ」
「そう? 分かったよ、頑張ってね達也」
「ああ」
勿論、達也が空気を読んだのだろう。隼人の目を盗んで、雫が無表情のサムズアップを達也へ向けていた。
☆★☆★
「あ、あの、九十九さん…その衣装…」
「ああ、はい。これで出ますよ、仕事着です」
雫と昼食を取った後、隼人は深雪の試合を見る前に中条梓と共に最終調整に取り掛かっていた。
CADの調整をする前に衣装替え、となったのだが。
黒い『燕尾服』に袖を通した隼人に、梓は感嘆の声をあげた。
「はぁー、なんというか、すごく様になってますね」
「まあ、これでも執事経験はありますからね。そう言っていただけて何よりで御座います」
ぺこりと慇懃な態度で腰を折った隼人に、慌てる梓。なまじ隼人の所作が板に入っているせいで、見ようによっては内気なお嬢様と少年執事に見えなくもない。
「も、もう! からかわないでくださいよぉ」
「すみません、先輩の反応が面白かったもので」
ケラケラと笑う隼人に、頬を膨らませる梓。二人ともが年齢よりも幼く見えるせいか、自然と場の雰囲気は和んでいた。
「そ、それじゃあ最終調整しますよ!」
そう言って梓が隼人に手渡したのは、極ありふれたタブレットタイプの汎用型CAD。鈴音との作戦としては、予選の内はこれだけで乗り切るつもりである。
余り手に馴染まないCADを弄んでから、サイオンを流す。
普段感じない違和感に抗って、魔法式を構築・投射。普段の感覚よりもかなり遅い発動だが、平均以上の早さにはなっていた。
「うん、バッチリです」
ピンッと指で弾いて、CADを燕尾服の胸ポケットに仕舞い込む。
隼人からのお墨付きを貰って安堵している梓を横目に、隼人は少し離れた女子の会場へ眼を向けた。
「あれは…氷炎地獄か」
ならば、その発動者は十中八九深雪だろう。
時折、魔法師ライセンス試験で
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