第四章
[8]前話
ピンク色のプリン状に近い透明なものがまとわり付いている、流星はその由利香を見てそうして言うのだ。
「まさにな」
「そうよね、これだと」
「まずはそれを洗い落としてな」
「それからよね」
「湯舟の方もな」
「中和剤入れて」
「それからだな」
こう話してだ、そしてだった。
由利香はまず湯舟を出た、見事なスタイルのあちこちにゼリー状のものが付いたままだ。それを洗い落として。
湯舟の中に中和剤を入れてそうして普通に近い状態にしてからだった、二人であらためて。
湯舟の中に向かい合って入った、流星はその中で一緒に湯舟の中にいる由利香に言った。
「何かって思ったな」
「ええ、本当にね」
由利香も彼の言葉に頷く。
「お風呂に入ったら、だったから」
「結局あれだろ、入浴剤をな」
「入れ過ぎたのよ」
「その結果だな」
「そう、お湯がね」
普通の量では微かに粘りがある位が、だ。
「ゼリーみたいになるなんて」
「全く、そのお陰で」
どうなったかとだ、流星は苦笑いで言った。
「酔いが醒めたよ」
「私も。びっくりしてね」
「全くだよ、余計にね」
「この調子だと明日二日酔いはなさそうね」
「二人共な。ただユリちゃんおっちょこちょいというか」
流星は由利香にこうも言った。
「酔ってるせいもあるだろうけれど」
「うっかりしてるっていうのね」
「どうにもな」
「ううん、そのことはね」
自分も今のことでだった、由利香は流星に彼女自身もまた苦笑いになってそのうえで話した。
「自覚したわ」
「そうだよな」
「若し保母さんになっても」
「そこは気をつけないとな」
「まずいわよね」
「ああ、そう思うよ」
「私自身もね。本当にね」
由利香は湯舟の中で共にいる流星に答えた、そしてだった。
そのうえでだ、こう言ったのだった。
「今みたいにびっくりすることになるから」
「そういうことだよな」
流星は由利香のその言葉に頷いた、そうしてだった。
二人で湯舟の中にいてからベッドに一緒に入った。この時はこれで終わったが。
由利香は流星の紹介からテストを受けて晴れて保育園の保母さんになれたがやはりうっかりさんだった。時折ポカをやらかす保母さんとして知られる様になった。二度と風呂をゼリーにすることはなかったにしても。
ゼリーの女 完
2014・6・25
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