第一章
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愛欲
高杉聡はあることで頭の中が一杯になっていた、中学二年生まさに青春真っ盛りの彼の頭の中にあることは。
「やりてえやりてえやりてえやりてえやりてえやりてえ」
「教室でそんなこと言うなよ、馬鹿野郎」
小学校からのクラスメイトである小清水御門が自分の机に顔を横にやってうっ伏して念仏の様に言っている彼に突っ込みを入れた。二人共黒の詰襟の学生服姿だ。
「何がやりたいんだ」
「俺にそれを言わせるか」
「いや、言わなくてもわかるからな」
もう聞かないというのだ。
「別にいいさ」
「そうか、とにかく俺はな」
「やりたいんだな」
「何処かにいい人いないか?」
身体を起こして御門に問う、顔立ち自体は悪くない。背もそこそこ高くスタイルもだ。
「それで」
「やらせてくれる相手か」
「年上のお姉さんな」
「そんなこと俺が知るか」
御門はその長方形の顔にある小さな目を怒らせて親友に言い返した。
「知ってたらそれこそな」
「御前が、かよ」
「そうした人と付き合ってるよ」
「そうだよな、やっぱり」
「けれどな、御前はな」
「俺は?」
「極端過ぎるだろ」
その言っていることがというのだ。
「何だよ、その言葉は」
「やりたいか」
「そんなにやりたいんだな」
「やりたくて仕方ないんだよ」
何がやりたいかも言うまでもなかった。
「どうしてもな」
「とはいってもここどういう学校かわかってるよな」
「男子校だよ」
実に詰まらなそうにだ、聡は御門に答えた。
「私立のな」
「ああ、二人でここ受験して見事合格してな」
「ここにいるよ」
「男子校で女の子がいる訳ないだろ」
御門の言葉は実にクールである。
「ここは女の先生だっていないんだぜ」
「普通の女の先生はな」
「仏教の学校だからな」
宗派が経営している学校である、こうした学校も多い。
「尼僧の人はいるぜ」
「尼僧さんには興味ないんだよ」
聡は実につまらなさそうに答えた。
「全然な」
「そうした趣味はないんだな」
「尼さんに何で興味が沸くんだよ」
こうも言う聡だった。
「あんな色気のない服でしかも髪の毛だってないだろ」
「最近は剃ってないぜ」
「それでもだよ、尼さんの服って色気がないからな」
「全然そうは思わないんだな」
「シスターでも一緒だよ、せめて巫女さんだとな」
「じゃあ神道の学校に行けばよかったな」
「ったくよ、男子校は地獄だぜ」
心からの言葉だった。
「女の子が一人もいないんだからな」
「高等部に入ったら女の子もいるからな」
「けれど中等部の間はだろ」
「ああ、一人もいないさ」
「今時自衛隊でも女の人いるのにな」
やはり絶望のまま言う聡だった。
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