第七章
[8]前話
「今ここで私に罰を与えるでしょう」
「そうなると」
「ここで」
「そうです、今ここで」
まさにこの礼拝堂で、というのだ。
「私に罰を与えるでしょう」
こう言いつつ主を見る、しかし。
キリストは十字架で穏やかな顔のままだった、その顔で三人を見ていた。そうしてそのうえでなのだった。
ジョーンズは二人にだ、あらためて言った。
「どうやら」
「はい、神は私達を」
「許して下さったのですね」
「その愛が純粋なら」
そうしたものなら、というのだ。
「神は許して下さるのですね」
「同性であっても」
「それでも」
「そうです、私も今そのことがわかりました」
ここで、というのだ。
「そうだったのです、では」
「これから二人で」
「愛を紡いでいきます」
二人も誓った、そして。
二人はジョーンズに深々と頭を垂れてそうしてだった。
心から礼を述べてだ、そのうえで二人で礼拝堂を後にした。そうして。
ジョーンズは二人を見送ってからだ、礼拝堂に戻って来たナンシーにこう言った。
「私は間違っているのかも知れませんが」
「それでもですか」
「純愛ならば」
それならというのだ。
「私はいいのではと思いまして」
「それで、ですか」
「彼等に答えました」
「例え同性でも」
「それが純粋な愛ならば」
「そうなのですね」
「それは間違っているのでしょうか」
ジョーンズは考える顔だった、その顔で深く考えそうして出している言葉だ。
「私は」
「私は間違っていないと思いますが」
「キリストの教えでは」
「やはり間違っているでしょう」
「ですが、ですね」
「はい、牧師様が愛し合う二人を認められたことは」
このこと自体はというのだ。
「素晴らしいです」
「左様ですか」
「そうです、ですから」
「間違っていてもですね」
「胸を張られるべきかと」
これがナンシーの言葉だった。
「純粋で清らかな恋愛を認められたことは確かですから」
「だからですか」
「そうです、そのことは確かですから」
だからだと言うナンシーだった、そして。
その話を聞いてだ、ジョーンズは。
また礼拝堂の十字架を見た、そこにいる主はというと。
優しい微笑みを浮かべているだけだった、その主を見てだった。
ジョーンズはその前に跪き深々と祈った、ナンシーも彼に続いた。主はその二人を微笑みをたたえ優しく見守っていた。
ホモセクシャル 完
2014・6・21
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