認識の差異
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寝ぼけ眼をこすり、周囲をキョロキョロと見回す少年に、卜部は間髪入れずに問い詰める。
「ええと、貴方は……!ということはここはあの施設ではないということですよね?」
確認するように言う少年に卜部は容赦しない。
「ああ、そうだ。こちらはお前の出した要求をかなえてやったどころか、お前が3日間寝たきりなのを面倒みてやったんだ。きりきり話せ」
「そうですね、お話します」
少年は卜部の言うことをもっともだと思ったらしく、姿勢をただし話し始めた。
「これがことの顛末となります」
透真は目の前のおっさん&金髪の美女に会うまでのことを適度にぼかして語った。なにせ、隠さねばならないことのオンパレードなのだから。透夜のことといい、自分自身のことといい、手に入れたペルソナ能力といい、真実をそのままいうには色々問題がありすぎたのである。
「なるほどな。一応嘘は言ってねえみてえだが、まだ隠していることがあるだろう?今の理路整然とした説明、俺に対して全く臆さぬ話しぶり、お前の知能の高さははっきり言って異常だ。その秘密について教えてもらおうか」
隠し事といわれて、やばいと心中で動揺する透真だったが、見当違いの方向にいったので胸を撫で下ろす。
「えーと、教えてもいいんですけど信じられないと思いますよ?」
「真偽は俺が判断する。話せ」
「俺には前世っていうんでしょうか?その記憶があるんです」
「前世の記憶か……そこでお前は人間だったか?」
「え、はい。人間でしたけど?」
思いがけない問に困惑顔で答える透真。
「(どう思う?)」
「(嘘は言ってないと思います。神魔でなくとも、覚醒の際に前世の記憶を思い出すことはないわけではありませんし、ありえないことではありません)」
「(ふむ、まあ神魔の転生体と言われるよりはましか)」
覚醒前の透真というか透夜のことを知らない為、誤解してしまう卜部とリャナンシー。もし、彼らが実験体個々人を詳細に調べていたら、話は違ったのだろうが……。
「ふむ、分かった。じゃあ、次はお前が何をどうやって、あの騒動を起こしたのか説明しろ」
「え?そんな簡単に信じるんですか?!」
流石に客観視すると胡散臭いことこの上ない話なので、あっさり受け入れられて驚愕を隠せない透真。
「なんだ、嘘なのか?」
「いえ、本当ですけど。まさか、こんなすんなり信じてもらえるとは思わなかったんで……」
「お前が知らないだけで、この業界じゃありえないことじゃない。神魔の転生体に比べれば、可愛いもんだ。まあ、珍しいことには変わりはないがな」
「そうなんですか……」
(神魔の転生
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