第四章
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「若しも私がその人を好きになり」
「女性を」
「はい、そしてその人も私を好きならば」
つまりだ、相思相愛ならというのだ。
「その時は私も」
「その愛を選びますか」
「止まらないと思います」
その想いが、というのだ。
「恋愛と戦争にルールはないといいますし」
「イギリスの諺だったでしょうか」
「そうだったでしょうか。とにかくです」
「恋愛にルールはない」
「好きになる相手が。既に相手がいる人でない限りは」
ナンシーはこのタブーは否とした、しかし今の話のタブーはというと。
「止められないと思います」
「神であろうとも」
「相手がいても。フランチェスカ=ダ=リミニは地獄に落ちようとも」
こちらは既に相手がいる恋愛だった。
「愛を選びましたね」
「確かに」
「愛は地獄に落ちようとも」
「それでもですね」
「止められないものではないでしょうか」
こうジョーンズに語るのだった。
「私はそう思います」
「シスターはそうお考えですか」
「神に仕えていますが」
その立場でもだというのだ。
「そうした意味で私は過っているでしょうが」
「それでもですか」
「愛はそうしたものかと」
「ルールはなく」
「地獄に落ちようとも止められないものではないでしょうか」
「そしてですね」
ここでジョーンズは自分が今名前を出したその人物のことを想った。フランチェスカ=ダ=リミニのことをだ。
「地獄に落ちようとも。神曲のことですが」
「ダンテの」
「フランチェスカは救われていますね」
「地獄で恋人と共に」
「そうなっていますね」
「確かに地獄に落ちる罪でも」
そうした愛でもだというのだ。
「それを貫くことは美しいことではないでしょうか」
「確かに。フランチェスカは美しいです」
その愛は、というのだ。
「曇りのない純愛です」
「私は不倫は許せず出来ませんが」
「それでも同性愛は」
「それは別だと自分でも思うので」
許されない愛だとわかっていても、というのだ。
「ですから」
「地獄に落ちても純愛であり救いがある」
「そうした愛ならば」
例えだ、同性愛でもだというのだ。
「いいのではないでしょうか」
「そういうお考えですか」
「はい、私は」
「合衆国はこれまで多くの問題を抱えてきました」
ここでジョーンズは自身の祖国のことも考えた、このアメリカ合衆国のことも。
「それは今も続いています」
「実に我が国は様々な問題を抱えてきていますね」
「建国から。軍にしても」
彼等が従軍聖職者としているここもだ。
「人種問題もありましたし」
「アフリカ系の入隊もですね」
「それでも議論になり様々な騒動を経て入隊が認められ」
「今に至りますね」
「日系人の問題もあり
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