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ホモセクシャル
第一章
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                        ホモセクシャル
 アメリカ軍ではこの時深刻な問題が起こっていた、それは兵器の不備や麻薬の蔓延といったものではなかった、それは倫理面の問題と言っていいものだった。
 従軍牧師のピーター=ジョーンズもだ、難しい顔で士官達の話を聞いてこう言った。
「キリスト教ではです」
「はい、このことはですね」
「認めらていないのです」
 こう言うのだった。
「このことは」
「では」
「この問題は」
「しかしです」
 牧師としては駄目だと思う、しかしだというのだ。
「今の風潮はです」
「その問題について寛容になっていますね」
「極めて」
「私自身はそうした趣味はありませんし」
 それに、というのだ。
「やはりキリスト教の牧師ですから」
「だからですね」
「どうしても」
「認められないのですが」 
 しかしというのだった。
「どうしても」
「このことは」
「そうです、ですが」
 難しい顔で言い続けるジョーンズだった、白くブロンドの髪を綺麗に整えた外見である。ブラウンの目の光は優しく眼鏡をかけた顔立ちもだ。背は高くやや太っている。
その彼がだ、こう言ったのだった。
「最早。私が言うのも何ですか」
「牧師様がというと」
「それは」
「最早キリスト教は絶対かというと」
「そうではない」
「そう仰るのですね」
「大統領の就任式には聖書があります」
 聖書に手を置いて大統領としてアメリカの為に全力を捧げると宣誓するのだ、聖書即ち神に嘘を吐かないということだ。
「それだけキリスト教の影響が強い国ですが」
「それでもですか」
「アメリカにおいても最早キリスト教は絶対ではないと」
「そう仰るのですか」
「他の宗教も入ってきています」
 仏教やイスラム教である、ユダヤ教もある。
「それにキリスト教の考え自体も」
「それもですか」
「変わってきている、いえ多様化してきている」
 ジョーンズは考える顔で述べていく、将校達に。
「そうなってきていますので」
「同性愛もですか」
「そちらも」
「はい、全否定ではなく」
 本来のキリスト教の様にだ。
「同性愛に寛容になってきていますので」
「だからですか」
「牧師様もですか」
「同性愛について」
「否定することは」
「難しいです」
 はっきり言えなかった、どうにも。
「よしとは言えないですが」
「それでもですか」
「否定することも」
「それが出来なくなってきています」
 難しい顔での言葉だった。
「同性愛を認める動きは世界的なもので」
「そして、ですね」
「この合衆国においても」
「それ故に」
「どうしても」
「キリスト教の中でもです」
 牧師が仕えている神の教えの中でもだと
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