第148話
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適当に返事をする。
だが、それが既に答えているようなものと判断したのか上条は納得のした表情をする。
少しその表情に対して文句を言いたかったが、自分から話を掘り返すつもりはないので無視する。
「それよりも気になるのがヴェントの最後に残した言葉だ。」
そう言ってさっき言い残して行ったヴェントの言葉を思い出す。
『アンタの相手は他にいるし、ここは引かせてもらうわ。
できれば私の手でぶち殺したかったけど、あくまで私はそこの幻想殺しが標的。
それじゃあねぇ〜〜。』
「それがどうかしたのか?」
「分からないのか?
俺がローマ正教、つまり『神の右席』を馬鹿にした発言をした。
それにあいつは傍から分かるくらいの怒りの感情を見せた。」
確かにあの時のヴェントから出ていた殺気のようなものを上条も肌で感じ取っていた。
「それなのにあいつはあっさりと他のやつに手柄を譲るような事をした。」
「麻生の能力にびびったから苦し紛れにそう言ったんじゃね?」
「そんな二流三流の魔術師なら『神の右席』なんて言葉は使わない。
あいつら魔術師は最低限のプライドは持っている。
間違っても『神の右席』なんて言葉は使わない。
もし俺の能力を警戒して引いたのならあんな言葉を残す意味がない。
という事はだ。」
「その手柄を譲った奴はヴェントが信頼を置く強力な魔術師ってことになるのか?」
上条の言葉に麻生は静かに頷いた。
「もしかしたら別の『神の右席』がこの街に来ている可能性がある。」
それか、と麻生は考える。
もう一つの候補があの正体不明の魔術を使う魔術師達だ。
『神の右席』がその魔術師達と手を組んだら非常に厄介だろう。
特に幹部クラスの魔術師。
麻生はその相手に一度負けている。
あの時はあの猫のおかげで何とか命拾いしたが、次もそんな幸運は起きないだろう。
もしそれクラスの相手が来たら麻生は命を懸けないといけないかもしれない。
「恭介?」
上条の言葉を聞いてはっ、とする。
どうやら深く考えすぎたようだ。
心配そうな顔をして上条がこちらを見ていた。
「とにかく気をつける事だな。
この街はまだ何かある。」
「いらない心配だと思うけど、恭介も気をつけろよ。」
上条は麻生が負けた事を知らない。
そもそもあの魔術師達の存在も知らない。
上条の眼には麻生が最強の存在に見えるのだろう。
それが分かっている麻生はこう言った。
「ああ、気をつけさせてもらう。」
「えっ?」
「お前の方もヴェントの方を頼んだぞ。
俺の援護は期待するな。」
そう言って麻生は雨の中、街中を走り去って行く。
いつも
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