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どっちにするの
第三章

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「これからもこうしない?」
「二つ欲しいものがあればだね」
「二人一緒の時はね」
 今の様にだ。
「その時はね」
「こうして半分ずつにして」
「半分ずつ食べましょう」
「どっちにするかじゃなくて」
「半分こすればね」
 それで、というのだ。
「二人共どっちも食べられてね」
「どっちかした食べられないよりもだね」
「いいから」
 どちらも楽しめていい気分になれるからというのだ。
「そうしましょう」
「それがいいね」
 朔も美菜の提案に笑顔で頷く。
「これからは」
「そういうことでね」
「そうだね、ただ」
「ただ?」
「二人が同じものを頼んだ時は」
 紅茶の様にだ、実際に今二人共飲んでいるものは紅茶だ。
「一緒に楽しもうね」
「そのままね」
「うん、そうしよう」
 笑顔でだ、朔は美菜に言った。
「紅茶みたいにね」
「そうね、この紅茶もね」 
 美菜はその紅茶を飲んだ、紅茶はケーキの甘さとあいまってだ。そのうえで。
 絶妙の味になっていた、紅茶だけでもかなりの味だがケーキの甘さを口の中で合わせてそうしてだった。
 最高の味になっていた、美菜はその最高の味を楽しんで朔に言った。
「一緒に楽しもう」
「二人同じものを頼んだ時はね」
 それが一つの時は、というのだ。
「そうしましょう」
「是非ね」
「そう、後ね」
「後は?」
「いえ、いいわ」
 ここから先はだ、美菜は笑って言うことを止めた。
「また今度ね」
「随分気になること言うね」
「言う機会があったら言うから」
「その時にだね」
「ええ、その時にね」
 こう言って今はそのことは言わない美菜だった。しかし。
 数年後だ、二人共就職して結婚してだ、子供が出来てから。 
 親子三人でファミリーレストランに行った時にだ、美菜は自分と夫になった朔、そして二人の間に産まれた娘の好きな料理をそれぞれ注文した、そしてどの料理も。
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