第一章
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っていた彼女は身体を弱くさせてしまっていたのだ。まだその美貌は健在だったが。
「すぐによくなる」
その彼女の枕元でロレンツォは優しく言った。
「すぐにな。安心していい」
「いえ、それはわかるわ」
しかし彼女は穏やかに微笑んで枕元に座っている夫に告げた。
「自分のことはね」
「まさかとは思うが」
「ええ。もうすぐね」
その穏やかな微笑を夫にも向けての言葉だった。
「もうすぐ。私は」
「そんなことは有り得ない」
ロレンツォはその言葉を必死に否定した。
「絶対に。有り得ない」
「私が死ぬということが?」
「君は死なない」
彼はそれを否定し続ける。
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